【総括:2024】中国は「ラグジュアリー失速」「AI制作コンテンツ」「越境EC新兵器」「POPMART株の爆騰」
そもそも、中国のマーケティングは既存メディアからインフルエンサーやKOC(キー・オピニオン・コンシューマー、発信力のある消費者)の口コミへと大きく転換していた。いわゆるUGC(User Generated Content、ユーザーが作ったコンテンツ)だが、ここにAIが入り込みつつあるのだ。
低コストでもプロ並みの美しい画像や動画が作成できるようになったという正しい道もあれば、商品をほめたたえる書き込みをAIで粗製濫造する、動画を加工しロシア美女インフルエンサーと偽って宣伝を行うという悪の道まで振れ幅は大きい。報道によると、たったの2元(約40円)でロシア美女の顔は買えるのだとか。おじさんが40円で美女の顔を購入し、「中国人の男の人ってステキ」などとコメントを添えてSNSに投稿してファンを集めて行くという新時代が到来しているのだ。
実は中国は世界に先駆けてAI規制、ディープフェイク規制を法制化している。AIが作ったコンテンツにはマークをつけて明示すること、国民IDによる認証がサービス利用の前提になるなどの規制を設けているが、現時点では抑止力とはなっていない。
インフルエンサーとKOCを中心に組み立てられてきた中国マーケティングの世界が、AIによって大きく塗り替えられることは間違いなさそうだ。
アリババが銀泰百貨(インタイム)を売却
インタイム(銀泰百貨)は1998年、浙江省杭州市で創業した百貨店チェーン。2017年にEC大手アリババグループに買収された。その後は、デジタル技術で小売業のアップグレードを目指す「新小売」の旗手として活躍する。対面販売とECの統合、特典でロイヤルカスタマーを集める有料会員制度、アプリによる顧客との接点確保、D2Cブランドと海外ブランドの「中国初オフライン店舗」の積極招致、売り場からのライブコマース販売などの施策を次々打ちだし、中国のみならず、日本の小売業関係者からも注目される存在となった。