トヨタ スターレット1300 3ドアS(昭和53/1978年2月発売・KP61型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト096】
元祖ホットハッチがトヨタから登場!
この連載では、昭和30年~55年(1955年~1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第96回目は、ホットハッチの魅力を存分に振りまいた、トヨタ スターレット1300 3ドアSの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より) 【写真はこちら】サイドビューはまとまり感のあるハッチバックデザイン。無駄にインパクトを狙わなかったことで質実剛健なスタイルとなり、多くのファンを引き付けた。(全8枚)
昭和53(1978)年に発売されたKP61はスターレットとしてはKP47に続く第2世代目で、これ以降継承されていくことになる2ボックススタイルが確立されたクルマとなった。それまでの「パブリカ」と「パブリカスターレット」の2車種を統合して「スターレット」と独立させたクルマでもある。 開発コンセプトは、もちろん小型大衆車としての機能性を追求することだった。この頃は2ボックスハッチバックが世界的に小型車の主流となっていたのだ。このクルマもこの流れに乗るべく、3/5ドアの2ボックスハッチバック車となったわけだ。 トヨタはこれにスポーティグレードとしてSモデルを設定し、好評を博した。スタイリングは直線と曲線をうまく織り交ぜてスマートに仕上げている。コンパクトで嫌味のないデザインが印象的だ。 インテリアも車格に見合うようなシンプルなものだが、インパネ右側に大径のタコメーターが備わりその気にさせられる。シフトレバーの位置も自然なもので、 ABCペダルも適切な位置にあるのでヒールアンドトウもしやすいものとなっていた。ステアリングホイールは3本スポークのオーソドックスな形状となっている。 搭載されたエンジンは従来型のストロークアップで1.3Lとした直列4気筒OHVの4K-U型だ。動弁機構はすでに旧式と言えたが、信頼性は抜群のものがあった。72ps/5600rpmの最高出力はこのクラスでも特別目を引くものではなかった。 しかし、1300Sの評価を絶対的なものとしたのは、わずか710 kgに抑えられた車重だった。これによりスポーツ性能が担保されたのだ。 もう一つ大きな支持を得た理由がある。このクラスの2ボックスハッチバックの主流がFFだったところにFR方式を採用したことでユーザーには喜ばれたのだ。やはりテールスライドやドリフト走行が可能なこの駆動方式の人気は根強かった。