「私、病院キライなんです」と言う女医が「病院らしくない医院」で行う”オープンな認知症診療”
せめてクリニックに来たときは「居心地をよくしてあげたい」
東田:開業の場所をここに場所を決めたのは、笠間市立病院の近くだったからですか。 白土:その当時診ていた患者さんのために開業したので、そうなりますね。遠いところに行っちゃったら意味がないので。同じ圏内で歩きや車で行けるくらいの距離がいいと思ってここにしました。この場所は以前コンビニで、中を全部壊してつくり替えました。 東田:きれいですね。威圧感がありません。しかも、全然病院特有の臭いがしませんね。 白土:私、病院嫌いなんです。だから絶対病院らしくない医院にしようと思っていました。 東田:こんなに消毒液の匂いがしない診療所はないと思います。すごくいいですね。 白土:認知症の方って五感が鋭いし、ここに来るときしか外出しない方もいらっしゃるので、せめてここでは、居心地をよくしてあげたい。でも、ソファがナイロンじゃないので、患者さんがたまにおしっこをしちゃうと、看護師さんがせっせと掃除をしています。 東田:訪問診療はやっておられないのですか。 白土:あー、訪問診療は、こっそりと……。 東田:こっそりやっていらっしゃる。あまり言えないのですね。 白土:最初から公表すると、それを目的に依頼が来るので。医師は私ひとりですから、どのくらいまで最初からキャパシティを広げられるかわからず、公表しませんでした。ただ、お引き受けした以上は最期まで診たいのです。長くかかっている方が、だんだん弱って来られなくなった場合には、行ける距離であれば行きます。あと、最期まで家で過ごしたい方のお看取りとかも、裏メニューと言いますか、やっています。 東田:これは書いちゃダメですよね。お看取りもしているというのは。 白土:いえ、別に。大丈夫ですよ。 東田:開業して何年も経つと、弱ってきて亡くなられる方もいらっしゃいますよね。高齢者の外来では、ご家族からの情報提供が重要だと思いますが。 白土:家族もチームだと思っているので、お話はよく聞きます。いちばん近くでわかっているのがご家族なので、あとは介護職の方からの情報とかも重視しています。