「私、病院キライなんです」と言う女医が「病院らしくない医院」で行う”オープンな認知症診療”
薬の匂い、やたらと白い壁、長い待ち時間、コワい医師……病院は患者に「優しくない」環境になっていることが多い。そんなネガティブなイメージを吹き飛ばす明るい雰囲気のクリニックで、「町医者」として、身体の病気のみならず認知症診療にも力を注いでいる「茨城の名医」を、介護ライター・東田勉氏が取材した。 【画像】死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由
「自分が持っている医療知識は、全てお伝えしたい」
今回は茨城県笠間市に「あやか内科クリニック」を開業した白土綾佳(しらど・あやか)医師を紹介する。白土医師のクリニックのサイトには、次のような文章が「特徴」として掲げられているが、本人を尊重したオープンな医療をしたい……そんな思いが伝わってくる。 【あやか内科クリニックの特徴】 「目の前の困ったに対応できるよう、日々学び続け、得たものをすぐに現場にフィードバックします」 「現時点で自分が持っている医療知識は、全て本人やご家族にお伝えしたいと考えます。診察室での説明では時間が足りないのでプリント、ブログ、ニュースレター、セミナーなどメッセージをお伝えする場所を豊富にご用意しました」 「一方でご家族には、自宅での本人の様子、新しい薬を開始しての症状の変化など、お近くにいる方しかわからない情報の提供をお願いします。ご本人を中心としたチーム医療の一員として、ぜひご協力をお願い致します」 「また、ご本人がこれまでどんな人生を歩んでこられたのか、どんな時に誇りや喜びを感じるのかなどその方しか知らない『ものがたり』についても、ぜひ私たちにお教え下さい。十分なコミュニケーションと情報提供の元、ご本人とご家族が出した結論を、私たちは尊重します」 (※あやか内科クリニックのサイトから抜粋) 白土医師はもともと消化器内科専攻で、笠間市立病院(茨城県)で勤務していた。この病院は敷地内に医師住宅があり、本人によると子育てと仕事を両立させやすい「居心地の良い環境だった」という。にもかかわらず開業を選択、さらに日本認知症研究会を立ち上げ、研究会のサイト「えんがわJAPAN」では盛んに情報発信を行っている。 恵まれた環境を捨てて「町医者」の道に進み、敬遠する医師も多い認知症診療に熱心に取り組みながら、さらに活動の幅を広げているのはなぜだろう。本人に話を聞いた。