「私、病院キライなんです」と言う女医が「病院らしくない医院」で行う”オープンな認知症診療”
患者さんのために「やりたいこと」が出てきた
東田:このクリニックを立ち上げたのは2017年ですね。開業しようと思われたのはどういう経緯からですか。 白土:市立病院はすごくやりやすくてバックアップしてくださったんですけど、認知症の患者さんにとっては、こうしたほうが親切かなとか、患者さんのためにやりたいことが出てきました。組織としての決断と自分のしたいことにズレが出始めたので、それだったら一人でやっちゃおうかなと。たとえば、市立病院では来た人から順番に診ていくシステムでしたが、そのせいで私が辞める直前には、外来が2時間待ちになってしまったのです。 認知症の患者さんは2時間も待てないので、ソワソワしちゃって「待ちきれないので諦めます」と離脱してしまう人が少なくありませんでした。認知症の患者さんは、再診でも予約が取れるシステムじゃないと……そういう提案をしてはいたのですが、やはり組織としては難しい。自分ならこうしたいなという思いが募って、自分で始める決心をしました。 東田:今のお話は、笠間市立病院の「もの忘れ外来」のお話ですね。 白土:あまり認知症外来と普通の外来を分けられなかったのです。普段ずっと関わっている方がだんだん認知症になっていかれるとか、認知症でかかっている方が血圧や糖尿などを一緒に診てほしいとか。そういう感じで全部混ざっていきます。初回だけは30分の予約枠で取るんですけど、それ以降は全部一緒に診ていくので。 東田:「あやか内科クリニック」では、診療科目は3つで掲げています。プライマリ・ケア、認知症(コウノメソッドによる「もの忘れ外来」)、禁煙外来(2024年現在休止中)とありますね。 白土:うーん、ひと言でいえば内科、かな。あまり自分の中で分けてはいないです。診られるものは何でも診ます。私の中では、「認知症も診られる町医者」という感じです。 東田:認知症の患者さんは、どのような経緯で来られるのですか。 白土:うちは口コミというか、ケアマネさんや市役所とかからすすめられて来ましたという方がかなり多いです。 東田:だいぶ地域に根づいてきたんですね。 白土:市立病院がすぐ近くなので、当時の患者さんで、認知症の方はそのままこちらに来られている方が多いですね。8年も続けて診ている方もいます。