悔しいです…8年前の相続で父親の財産・総額5億9,000万円はほとんど兄が独り占め。〈54歳長女〉と〈80歳母親〉が悔し涙を流したワケ【相続の専門家が解説】
父親の財産・総額5億9,000万円を公正証書遺言でほとんど兄が相続してしまった、という裕子さん。裕子さんや裕子さんの母親は、本来ならもう少し多く遺産を相続する権利があったはずなのです。それを「遺留分」として8年経ったいま、兄に請求したいと考えましたが…。本記事では、遺留分を請求する権利があるケースについて、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が解説します。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
父親の財産は約5億9,000万円。遺言書でほとんどを兄が相続。
54歳の裕子さんが80歳の母親の遺留分を請求できるか知りたいと相談に来られました。父親は8年前に亡くなりましたが、公正証書遺言があり、それにより手続きをしました。相続人は母親と兄と裕子さんの3人です。 父親の財産は自宅、貸店舗、貸宅地、アパート、裕子さんが住む家と預金などがあり、約5億9,000万円でした。遺言書の内容は、母親には150坪ある自宅の土地、建物で約1億円、裕子さんが住む土地と建物は裕子さんにとされていて、約8,000万円。残りは全部、長男である兄にとされていました。 母親が相続したのは財産の15%。法定割合が50%、遺言書があるため遺留分は法定割合の半分、25%ですので、あと10%、5,750万円までは遺留分侵害額請求ができたということになります。
遺留分侵害額請求はしなかった
父親が亡くなったのは8年前で、亡くなった直後に兄から公正証書遺言があることを知らされました。母親も裕子さんも、両親と同居して賃貸事業などを父親の代わりに仕切ってきた兄には勝ち目がありません。 相続の手続きでも兄が仕切っていましたので、母親は半分の権利があるのに少ないなと思いながらもそのとき文句をいえる雰囲気でもなかったため、そのままにしてきたと言います。けれども最近になって遺留分の請求ができることを知って、母親の権利として、いまからなにかできる方法はないかと気になったといいます。 ちなみに裕子さんの遺留分割合は法定割合25%の半分、12.5%ですので、計算すると7,375万円。対して相続した自宅の土地・建物は8,000万円です。相続評価では遺留分は侵害していないということがわかりました。しかし、「遺留分算定」となる財産の評価は一律にいかないところがあります。
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