つるの剛士「今思うと“超さむい”ことをしていた」世にあふれる“子育て情報”に踊らされないために大切なこと
「子どものために」は、実は親自身の安心感を得るため?
つるの:親は、子どもに「〇〇させた」「〇〇を与えた」ことに安心感を得たいのではないかな? 僕も第一子、長男が生まれたときは、いろいろなことが手探りで未知だったから、知育玩具をそろえたり、勧められるままにビデオ教材を見せたりと、知育に良いと言われることに飛びついていました。今思うと「超さむい」ことをしていたなって(笑)。それもだんだん、これは僕自身が単に「してあげた」感を得るためにしているんじゃないかと、気づき始めたんです。 ただ、その「してあげた」安心感で、子育て中の親自身の気持ちが落ち着くのなら、悪いことじゃないと思うんです。ママやパパの心の安定は、子どもの心の安定にリンクしていくものですからね。そのかわり、本で書かれた通りにわが子が反応しなくても、決して「どうして?」と思い悩まず、「うちの子には合わない“肥料”だったのね」と流すくらいの心構えでいてほしいなと思います。 まーや:野菜や花の栽培に、子育てを例えるとわかりやすいですね! すべての子どもが同じマニュアル通りに成長したら、逆に恐ろしいと思ってしまいます。世の中にあふれている「子育て術」についても、向き不向きがあるし、「ひとつの例」として客観視する心構えが必要なんですね。それに、「みんなが〇〇しているから、うちの子も同じことをしなくちゃいけない」という考えが、子育て中のママたちを縛って、辛くさせている気がします。でも、その根底にあるのは、ただただ「すくすくと、元気に明るく、賢く育ってほしい」という、わが子への思いだと思うのです。 つるのさんが幼稚園で子どもたちと接しているとこに、「この子は賢いな」とか「賢い子になるな」と感じることはありますか?
わが子の長所やすばらしいところ、即座に言えますか?
つるの:どのようなことを「賢い」とするのかによりますよね。僕は、子どもたちを見ていると「みんな無限の可能性や“キラキラしたもの”を持っていて、すごいな」と、日々感じています! 物静かなんだけれど、まわりの友だちをすごく気遣う子、ハサミをとても器用に扱う子、僕も知らないような「恐竜」について詳しく解説してくれる子……と、クラスの子どもたち一人一人がそれぞれに「すごいな~」と感じる“キラキラ”を持っているんです。 うちの子どもたちも、長男は自然が好きで、絵が得意。長女は、おっとり気質だけれど友人が多くて慕われている。次女は、英語や絵、デザインが得意。三女は、学業優秀で努力家、部活の弓道にも打ち込んでいる、次男はスポーツも頑張っていて。といった感じで、それぞれに得意分野や好きなことがあって、親からみても尊敬できて“すばらしいな”と感じるところがたくさん。これからどんな風に羽ばたいていくんだろうとワクワクしています。 まーや:そんなふうに、わが子の「すばらしいところ」をきちんと語れることって、とても大切な気がします。見習いたいです。親って謙遜もあるのか、「うちの子って〇〇なんですよ」と、短所は端的にあげるのに、長所やすばらしいと思っているところは、なかなか口に出して言わないことが多い気がします。それに、いざ「お宅のお子さんの長所は?」と聞かれると、考え込んでしまう方も少なくないと思うんです。親が、子どもの“キラキラ”やすばらしいところに気づくことも大切だし、それを口に出して褒めたり、認めたりすることって、子どもが“キラキラ”を伸ばす原動力にもなりますよね!