鹿島が4人の高卒ルーキーパワーで神戸と執念ドロー演出
ヴィッセル戦ではまるで時空を超えて、アントラーズの理想像が具現化されてもいる。前後半に設けられた飲水タイムや試合後に、リザーブに回っていたスンテが常に山田に寄り添い、身振り手振りでアドバイスを送った。曽ヶ端とともに、濃密すぎるほどの経験をもつ2人へ「自分が試合に出ることになっても、嫌な顔をせずにサポートしてくれた」と山田は感謝の思いを忘れない。 「技術的なこともありますが、試合への入り方とか試合のコントロール方法とかを、経験のある先輩方に言われれば納得できますし、それらをどんどん吸収して自分のものにしていきたい」 ヴィッセル戦では1点を追う後半28分に荒木、染野、アラーノ、永木の4人を同時に投入。さらに同37分には松村をリーグ戦デビューさせ、最終的な布陣をアラーノとFWで先発していた土居でボランチを組ませ、永木をボランチから右サイドバックへ配置。前半38分に4試合連続ゴールを決めたFWエヴェラウドとともに、前への推進役を高卒ルーキーの3人に託した采配が最後に奏功した。 「時間帯を考えれば例え同点ゴールであっても、勝ちに等しい得点だったのではないかと思う」 染野のアシストから荒木が決めた劇的ゴールで、引き分けにもちこんだ一戦をザーゴ監督はポジティブに受け止めた。まさかの開幕4連敗でスタートした今シーズン。3勝2分け5敗と依然として黒星が先行し、順位も11位に甘んじている苦境で、新たな時代を担うホープたちが確実に胎動している。 (文責・藤江直人/スポーツライター)