マンU残留の香川 今なすべきことは何か?
香川は、完全に構想外だ。なのに移籍は実現しなかった。1日に敵地で行われたストーク・シティ戦で、マンチェスター・ユナイテッドのMF香川真司はスタンド観戦を余儀なくされた。遠征メンバーに入りながら、スタメンはおろか、サブの7人にも入れなかった。ピッチに立つ可能性すら与えられなかったのは、24節を終えたリーグ戦で6度目となる。 しかし、これまでのベンチ外とは意味合いが異なることを、誰よりも香川自身がよく理解していたはずだ。デイビッド・モイーズ監督は試合後、香川のコンディションには問題がなかったと明言している。けがや体調不良以外でベンチを外れたのは、昨年9月1日のリヴァプール戦以来、2度目となる。このときはモイーズ新体制になってまだ3戦目。コンフェデレーションズカップに出場した関係で、チームへの合流が遅れた香川が十分にフィットしていなかったという事情があった。 しかし、シーズンも約3分の2にさしかかろうという段階で、万全な状態でもベンチにすら入れなかった香川は、現時点で指揮官の構想から完全に外れていると言っていい。ヨーロッパの冬の移籍ウインドーがクローズされた翌日に迎えた一戦で、ユナイテッドに残留した香川は非情なまでの現実を目の当たりにしたことになる。 移籍マーケットが開いている間に、香川の移籍話が取り沙汰された。古巣であるブンデスリーガのドルトムント、リーガ・エスパニョーラのアトレティコ・マドリー、そして長友佑都の所属するセリエAのインテル。香川に興味を持っている、と報じられたチームはいくつかあった。しかし、香川は動かなかった、いや動けなかったのか。 元日本代表MFで現在は解説者を務める水沼貴史氏は、舞台裏をこう推測する。 「動こうと思えば動けたはず。移籍した先で確実に試合に出られる、というオファーがなかったのではないか。ドルトムントも以前に香川がプレーしたときとは、メンバーが変わっている。この時期に移籍するのが100%ベスト、というわけではないと思う」