マンU残留の香川 今なすべきことは何か?
シーズン途中の移籍は、リスクを伴う。しかし、残ってもイバラの道が待っていることは、ある程度は想像できた。香川は、「競争が激しくなるのは当たり前のことなので、やりがいがあるんじゃないかと思う」という考え方を持っているが、さすがに競争から脱落しては、やりがいとは、言い切れないだろう。チェルシーから加入したスペイン代表MFファン・マタがいきなり2試合連続でスタメンに名前を連ねた一方で、香川は3試合連続で出番がない。競争の舞台にすら立てていないのが現状だ。 こんなとき、選手はどのような心理状態になるのか。水沼氏は「もちろん不安になる」とこう続ける。 「ゲームに出ていなければ、どうしてもコンディションは落ちる。トレーニングでは走れてもゲームは異なるものだし、そうなると焦りのようなものも生じてくる。いまの香川にできることは、そうした中でも日々のトレーニングにしっかりと臨み、いつ出番が訪れてもチームにフィットできるようにメンタルを保ち、試合に入ったときのイメージをしっかりと作っておくことしかない」 6月にはW杯ブラジル大会が開幕する。いまの状況が続けば必然的に試合勘も鈍り、日本代表でのプレーに影響を与えかねない。やはりユナイテッドで出場機会を失っていた昨年10月。日本代表のヨーロッパ遠征に招集され、セルビア代表、ベラルーシ代表にともに零封負けを喫した直後に、香川は精彩を欠いたプレーに終始した自分自身へ大いなる危機感を抱いていた。 「チームで試合に出られないと、やっぱり代表に直結してくる」 モイーズ監督が攻撃陣に対してパワーとスピードを求める傾向は、より顕著になってきた。攻撃的MFを3枚並べる2列目は、イングランド代表ウェイン・ルーニーがトップ下、マタが右の指定席をがっちりとキープ。残り1枠となった左を、アシュリー・ヤングとアドナン・ヤヌザイが争っている。 不慮のけがや出場停止などで、いつチャンスが巡ってくるかわからない。残留を決めた以上、そのときにベストのパフォーマンスを演じ、自身の武器であるテクニックとクイックネスを指揮官に認めさせるしかない。 水沼氏は「とにかくメンタルを落とさないこと」と日本代表の背番号10へエールを送る。