【闘病】「イレウス」で瀕死状態 小腸は6分の1に…『食べて大丈夫な身体に回復したい』
小さな異常も見逃してはいけない
編集部: 現在の体調や生活はどうですか? 緒方さん: まだ入院中(取材時)で、絶食から流動食、さらにミキサー食に段階を上げるたびに、再発しています。イレウス管も抜いたり再挿入したりを行ったり来たりしています。45キロ弱ぐらいあった体重が、33キロに落ちました。治療のゴールは「元の食生活に戻る」ではなく、「再発予防」が優先となりました。 編集部: リハビリテーションなどは行っていますか? 緒方さん: 体組成計(体重に加えて体脂肪率や内臓脂肪レベルなどの項目を測れる計測器)で、筋肉量を計ることがリハビリのひとつです。さらに、体を動かすリハビリもスタートしました。これまで取材や撮影というライター業を通して長時間歩いていたことが功を奏し、歩行リハビリをスタートすると、スタッフの皆さんがびっくりするほど短期間でスムーズに歩けるようになりました。 編集部: 入院生活で、何か印象的なエピソードなどあれば教えてください。 緒方さん: 術後、まだ水が飲めないころに、看護師さんが毎日、小さな氷片を口に入れてくださったことです。絶飲の患者さん用だということでした。あの時の氷の美味しさは、口から水が飲めるようになった今でも忘れられません。もうひとつは、転院先(糖尿病で世話になっていた)に介護タクシーで搬送されたとき、スタッフの方が「おかえりなさい。連絡を受けて、みんなでびっくりしてたのよ。早く診察に来てくれたらよかったのに」と嬉し泣きのような表情で、手を握ってくださったことです。これには大きく感動しました。 編集部: 病気の前後で変化したことを教えてください。 緒方さん: 口から食べられるものが大きく変わりました。それとともに、食べることへの意識や、健康への意識も変わりました。再発を繰り返し、食事はほとんど取れていないので、おそらく、半年と予定されている入院期間を終えても、流動食を少量取れるだけという状態のまま退院することになりそうです。食べたいのではなく、食べて大丈夫な身体にまで回復したいのです。食べることへの認識と、小さな異常も見逃してはいけなかったという、健康面への認識の変化が大きくありました。 編集部: 今までを振り返ってみて、後悔していることなどありますか? 緒方さん: 腸は比較的健康で異常がなかったため、そこに病巣ができるなど想像もしていませんでした。動けなくなった時期に、いつもの病院に行けばよかったと強い後悔があります。 編集部: 医療機関や医療従事者に望むことはありますか? 緒方さん: 頻繁すぎるおむつ交換、イレギュラーへの対応など、感謝しかありません。手術をした大病院では、スタッフ間で情報が共有されていないことや対応がバラバラの点もあったので、それは改善されればなお良いと思います。 編集部: 最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。 緒方さん: 目で見えない部分の異常は気付きにくいものです。私は今回、お腹の痛みや嘔吐がなかったのでイレウスだとはまったく思いませんでした。でも、どんな病気でも、気付いたときには手遅れのことがあります。健康診断を受けて異常の早期発見につとめ、持病のある方は、通院がしんどくても持病の治療は中断しないでください。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]