【闘病】「イレウス」で瀕死状態 小腸は6分の1に…『食べて大丈夫な身体に回復したい』
6メートルの小腸が1メートルに
編集部: イレウスとはどんな病気なのでしょうか? 緒方さん: 種類によりますが、腸が何らかの理由で動かなくなってしまい、本来排出されるべきものが溜まってしまう病気です。腸閉塞とイレウスは同じように考えられがちですが、厳密には多くの種類に分類されるため、腸閉塞とイレウスは区別する、というのが近年の考え方なのだそうです。私の場合、小腸に原因があり、小腸の大半を切除したと言われました。 編集部: 術後、どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか? 緒方さん: 目覚めた時点で、右の鼻孔からイレウスチューブ(イレウス管)が入っていました。絶飲食し、このイレウス管から排液を出し続けて消化管の中の圧を下げ、停滞している流れをスムーズにするという、一般的な治療法です。 編集部: そのときの心境について教えてください。 緒方さん: 当時わたしの中では、イレウス(=腸閉塞でもある認識)は、とても厄介で致死率もそこそこ高いという認識でしたので、一生、固形物を食べることは難しく、余命も短縮したと覚悟しました。それぐらいの重病という認識でした(監修医師註:イレウスは保存的加療で大半が治癒しますが、一方で再発も多い疾患です。ただし、病態によっては発見が遅れると致死的になることがあります)。もともと摂食障害の拒食傾向があり、食べることは好きではありませんでしたが、小腸を切除して、今後完治が見込めない、食べる力が欠如する病気と言われると、やはり大きなショックがありました。 編集部: 実際の治療はどのように進みましたか? 緒方さん: 水の摂取は3日ぐらいで解禁になりました。それだけでも精神的に落ち着いたので、感謝しています。しかし、排液はなかなか減らず、搬送された病院にいた約半月で大きく回復することはなく、1型糖尿病で何年もお世話になっている病院に転院になると伝えられました。日常的な通院だけでなく、教育入院や評価入院で何度もお世話になっている病院で、もともとの主治医の先生が担当となり、1型糖尿病とイレウスを同時に診ていただいて入院治療することになりました。 編集部: そこではどのような治療を行いましたか? 緒方さん: 6mの小腸を1mしか残さずに切除することになり、栄養を吸収するために大切な部分が欠けているため、経口栄養摂取だけで生き続けるのは難しくなります。そこでどのように栄養摂取するかを模索する治療が始まりました。輸液ポンプでつながれたままになり、濃度の高い点滴が一日中続き、落ち着いたところで、エレンタールという栄養剤の経口摂取がスタートしました。水に溶かした大量のエレンタールを毎日飲んでいたのですが、逆に吐き気や腹痛が出たため、フレーバーを入れてゼリーにしたものを出してくださいました。