彼に感じたのは、怒りや憎しみよりも哀れみ――記者会見での性加害告発から4か月、カウアン・オカモトが語る自身のルーツと生き方
誰でも言えないこと、苦しいこと、あるじゃないですか
2023年7月15日。カウアンは東京・代々木公園で行われたブラジルフェスティバルで歌った。 「騒動があってから初めてのライブだったから、ちょっと不安もあったんですが」 日本人もブラジル人も一緒になった大観衆が声援を送った。ステージを終えたカウアンは多くのファンに囲まれた。 「ファンの人たちの層が変わりましたよね。大人の方が増えた。かけてもらう言葉も『カッコいい』じゃなくて、『本当に勇気もらってます』『生き方も好きです』って。すごく嬉しいですよね」 それはカウアンがずっと欲しかった声だったという。 「誰でも言えないこと、苦しいこと、あるじゃないですか。それを言えたってことがメッセージになったのかな、共感してくれたのかなって」
8月9日には、初の著書『ユー。ジャニーズの性加害を告発して』を上梓するカウアン。ポルトガル語版をブラジルで出版するという話もある。今後は日本とブラジルを行き来して活動していく予定だ。性加害についての講演のオファーがアメリカやイギリスからも来ているそうだ。 「勇気になる話をして、感動を与える音楽を届ける。そんな活動をしていきたいです」 ___ カウアン・オカモト 1996年愛知県豊橋市生まれ、日系ブラジル人4世。2012年2月、中3でジャニーズ事務所に入所。ジャニーズJr.として活動したのち、2016年8月に退所。日本とブラジルの2拠点でミュージシャンとして活動を開始。今年4月、日本外国特派員協会での記者会見でジャニー喜多川氏の性加害を告発した。自身の出自やジャニーズ事務所での芸能活動などこれまでの人生を振り返った『ユー。ジャニーズの性加害を告発して』(文藝春秋)を8月9日に上梓する。 本記事はYahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」、「#昭和98年」の一つです。仮に昭和が続いていれば、今年で昭和98年。令和になり5年が経ちますが、文化や価値観など現在にも「昭和」「平成」の面影は残っているのではないでしょうか。3つの元号を通して見える違いや残していきたい伝統を振り返り、「今」に活かしたい教訓や、楽しめる情報を発信します。