彼に感じたのは、怒りや憎しみよりも哀れみ――記者会見での性加害告発から4か月、カウアン・オカモトが語る自身のルーツと生き方
このままでは日本と世界の架け橋になるという夢が遠くなっていく……。 喜多川のマンションに赴き辞意を告げた。そのときたまたまいたのが、のちにKing&Princeのメンバーになる岸優太だ。 「岸って裏表なくて、すごくいいやつなんです。あのときも『お前、辞めちゃうの? ジャニーズでもっと歌とかやるんじゃなかったの? いればいいじゃん、もうちょい』と言ってくれました」
この機会に生まれ変わってほしいと思っています
それでも、決意は揺るがなかった。2016年8月、ジャニーズ事務所を退所した。 自らのルーツであるブラジルに渡り、両国を股にかけた活動を志したが、コロナ禍で中断。また母が病気になったり、自身もパニック障害に悩んだりもした。2019年には喜多川が亡くなった。 そして2022年11月、ガーシーのYouTubeチャンネルに出演。喜多川の性加害について赤裸々に話したことから、BBCの取材、週刊文春での告発、そして日本外国特派員協会での記者会見と怒涛の流れに。喜多川の性加害が大きくクローズアップされるようになっていく。
いまや社会的な問題になりつつあるが、カウアンに続いて被害を告発した人々が結成しようとしている当事者の会にはあまり興味がないと話す。 「僕が大事にしているものは愛です。相手を憎むことではなく、赦す方向に僕は今進んでいます。それを音楽で表現したいです」 それよりも児童虐待防止法の改正に取り組んでほしいと訴える。現行法では虐待の加害者が保護者だけに限られる。第三者からの性暴力も児童虐待と認め、また発見者に通報を義務づけるべきだと、署名を集めて与野党合わせて6党に提出した。 「僕、わかんなかったですもん。断り方とか、どこに助けを求めていいか、とか」 そしてジャニーズ事務所には、いまの時代に合った体制に変わってもらいたい。 「つぶれてほしくないです。この機会に生まれ変わってほしいと思っています」