プーチン氏に逮捕状を出した国際刑事裁判所 しかし危機をもたらしているのはアメリカだった【報道1930】
国際刑事裁判所(ICC)赤根智子 所長 「(ロシアの指名手配、怖さはなかった?)そういう感情より“やっぱり来たか”という感じでした…。去年の9月に大々的なサイバー攻撃があって一時ICCのITシステムがダウンした。もう少し前には、ロシアのスパイと思われる人がICCに入り込もうとしてオランダの警察に捕まったという事件もあった…。色んな脅威があるということは承知してます」 脅威はロシアばかりではないという。先月ICCは“戦争の手段としてガザ地区の住民を飢餓状態に陥れた戦争犯罪”容疑で、イスラエル・ネタニヤフ首相らに逮捕状を発行した。 これに対しアメリカ・バイデン大統領は「ハマスとイスラエルを同列に扱うのは言語道断」と発言。下院議会はICCの職員や関係団体への制裁案を可決した。この流れは法案の内容にかかわらず、様々な企業とICCとの取引に影響することを赤根所長は懸念する。 国際刑事裁判所(ICC)赤根智子 所長 「アメリカがICCへの制裁に踏み切れば、ヨーロッパにある企業あるいは銀行、日本にある銀行そういうものが“ICCとは取引しません”というような…法律そのものより“波及効果”ですね…。ICCの口座が凍結される…、あるいは裁判官の個人口座が凍結される…。 そうすると給料を払えない、住宅ローンが払えないというような…さらにICCの裁判所内のIT関係がマイクロソフトなんです。これアメリカの会社なんで、即取引が停止してサービスが受けられなくなる。そうすると裁判自体できなくなる、ICC全体の業務が停止するということになります。ほぼ潰れたと同じ状態…」 第二次大戦後の東京裁判もニュルンベルク裁判も戦勝国が敗戦国を一方的に断罪するものだった。 世界の秩序を守るために公正で国際的な司法組織が必要だとして生まれたのがICCだ。誕生までには長い時間が費やされ、2002年にようやく始動した。だが国連の常任理事国のうちアメリカ、ロシア、中国が加盟せず、イスラエルも入っていない。現在124の国と地域が加盟するが、その実行力は理想とはかけ離れている。