ル・マン3勝のロッテラーに韓国メーカー移籍のうわさ。今季王座獲得もポルシェのワークスシート喪失
先月バーレーンで行われた2024年WEC世界耐久選手権最終戦において、アウディ時代の2014年以来、10年ぶりにドライバーズチャンピオンを獲得したアンドレ・ロッテラー（ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ）が、ポルシェ963のワークスシートを失ったあと、現在所属しているポルシェを離れるのではないかと囁かれている。 【写真】ジェネシスのブランドアンバサダーを務めている、ル・マン“6冠”のジャッキー・イクス ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ（PPM）の6号車ポルシェ963を駆り、同マシンがデビューした昨季2023年よりWEC世界耐久選手権へ復帰したロッテラー。長く日本で活躍したのちにアウディとポルシェでワークスドライバーを務めてきたベテランは、11月2日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで開催されたWEC第8戦にて僚友のケビン・エストーレ、ローレンス・ファントールとともに見事、ドライバーズチャンピオンを獲得。2024年シーズンを有終の美で飾った。 その最終戦を前に、今シーズンをもってPPMのワークスドライバー・ロスターから外れることが発表されたロッテラーは、引き続きペンスキー・モータースポーツにマネジメント等の裏方として残留することを望んでいることをインタビューで答えていたが、ここにきてヒョンデ・ジェネシスのハイパーカープロジェクトへ加入するのではないか、といううわさが囁かれている。 WRC世界ラリー選手権の今季最終戦ラウンドとして日本で開催された『フォーラムエイト・ラリージャパン2024』でヒョンデi20 Nラリー1を駆り、自身初のドライバーズタイトルを獲得したティエリー・ヌービル、僚友のアンドレアス・ミケルセンの両ヒョンデドライバーとロッテラーは、モナコで同じマンションの住人同士であり、日頃から非常に親しく交流している仲だ。 ベルギー人ジャーナリストのクリスチャン・フィッシャー氏が今季、ロッテラーにポルシェとの契約継続の可能性を尋ねた際、43歳のドイツ人ドライバーは他メーカーへの移籍の可能性も示唆していたといい、ヒョンデがハイパーカークラスへの参入発表をする随分前から、“同じマンションの住民“を通じてプロジェクトの概要や幹部らと接触していたのではないかと推測している。 また、今年2月にヒョンデのプレミアムブランドであるジェネシスのブランドパートナーとして、アンバサダーに就任したジャッキー・イクスの存在もロッテラーにとっては大きいとのではないだろうか。レーシングドライバーの大先輩であるイクスと公私ともに深い付き合いのあるロッテラーは、イクスからハイパーカーの開発ドライバーのポジションの打診を受けたのではないかとも考えられている。 イクスはジェネシスのブランドアンバサダーとしてのみならず、チーフデザイナーのリュック・ドンカーウォルケとともに、ドイツにあるヒョンデの欧州開発センターの顧問としてのポジションを得ていることもあり、ハイパーカーの開発にも大きな影響力を持つと思われる。 WRCの最高峰ラリー1をはじめ、直下のWRC2や各国のラリー選手権を支えるラリー2、TCRワールドツアーに世界中のTCR選手権など、さまざまなモータースポーツ活動を展開しているヒュンデだが、WECやハイパーカーといったスポーツカー選手権はまったく未知の世界とあり、アウディやリベリオン、そしてポルシェでの長い経験とノウハウを兼ね備えるロッテラーに白羽の矢が立っても不思議ではない。 ドイツのスポーツチャンネル『Sport1』ではWEC最終戦の中継の中で、「ロッテラーがアストンマーティンと接触しているのではないか」と報道していただけに、彼の今後の動向が非常に気になるところだ。 [オートスポーツweb 2024年12月04日]
