スケートボード堀米雄斗の初代金メダルに全米が震撼!「4つのモンスター級トリック」「この競技の新たなキングになる」
東京五輪から新種目に採用されたスケートボードの男子ストリートが25日、東京都江東区の有明アーバンスポーツパークで行われ、堀米雄斗(22、XFLAG)が金メダルを獲得した。高校卒業と同時に渡米しプロスケーターとなった堀米は2018年に世界最高峰のプロツアー「ストリートリーグ」で3勝するなど全米での知名度は抜群。最強布陣を送りだしてきた米の2人のトップスターを押しのけての快挙を全米メディアも大きな扱いで取り上げた。
「ベストトリック」で逆転勝利
スケートボードのストリートは、階段、手すりなど街中をイメージしたコースでトリック(技)を競う採点競技で、45秒間、コース内を自由に走る「ラン」を2本と好きな場所を選び一発のトリックを競う「ベストトリック」5本の計7本を行い、このうち高得点4本の合計で競われる競技である。堀米は予選を6位で通過したが、決勝の最初の「ラン」ではミスが続き、2本を終えた時点で、ケウビン・ホフラー(ブラジル)、ジャガー・イートン(米)、ナイジャ・ヒューストン(米)に続く4位だった。トップとは3.03ポイント差。 「ランではメイクできなくて、すごい心の中ではあせっていたんですが、あきらめてなかった」 5本の「ベストトリック」にすべてを賭けた。実は6月の世界選手権でも同じ展開から「ベストトリック」で逆転をしていた。 1本目で「ノーリー270・リップスライド」を決め、9.03をマークした。ボードの前を叩いて背中からジャンプし、レールが見えない状態のまま、270度回ってリップでスライドするという難易度の高いトリックである。2本目は転倒したが、3本目で「キーとなった。ほっとした」という「ノーリー270・ボードスライド」を成功させて9.35を叩き出した。初めて試合で挑戦したトリック。前日に踵を怪我して決勝5分前に合わせたトリックで一気に首位に立つ。だが、直後にイートンが9.40を出して抜き返された。 壮絶な戦いである。そして運命の4本目。「ノーリーバックサイド270・ノーズスライド」を成功させた。ジャンプ後にボードのノーズ部分で滑る、さらに難易度の高いトリックは、この日、最高点となる9.50をマーク。再逆転するとラスト1本も9.30を刻み、その瞬間、クールな22歳が「うっしゃー」と珍しく声を出した。 「シンプルなんですけど、すごいうれしいです」 歴史的金メダルの喜びを噛み締めるように堀米がコメントした。 スケートボードの本場はアメリカである。堀米は高校卒業後、単身ロスに渡り、そこでプロとなり腕を磨いた。すでに多くのメディアに報じられているが、ロスに4LDKの家を建て練習用のミニパークまで庭にある。ボードは自前ブランド。賞金、スポンサー、そして映像による収入でトッププロの座を確保しており全米での知名度は高い。そのアメリカは世界ランキング1位で絶対王者のヒューストンにイートンという2人のトップスターを送り込んでいた。だがイートンが銅で、ヒューストンは7位。この競技に注目していた全米メディアは一斉に堀米の金メダル獲得のニュースを大々的に報じた。