75歳からのがん治療 ~がんと年齢の深い関係~
がんに罹患する方の半数近くを75歳以上の方が占めています。75歳というのは、日常生活に制限がなく過ごすことのできる期間、健康寿命とされる年齢です。 【続き】「高齢だからこそ」がん治療を考える上で気にしなければいけないこと 個人差がありますので一律にとは言えませんが、おおよそ75歳を超えると、がんへの対応は、治療の効果と心身への負担のバランスを取りながら考えていくことが大事になります。 高齢の方ががん治療を選ぶ際に知っていただくと役立つ情報をまとめた一冊『75歳からのがん治療 「決める」ために知っておきたいこと』より、役立つ章をピックアップしてお届けします。
がんは、そもそも高齢者に多い病気です
「この年になって、がんになるなんて」と嘆いている人もいるでしょう。しかし、がんはそもそも高齢者に多い病気です。 がんは悪性腫瘍ともいわれます。悪性腫瘍はがん細胞のかたまりです。なんらかの原因で、体の細胞の一部が無制限に増え続ける性質をもつがん細胞に変化してかたまりをつくり、正常な組織を破壊していくのです。 老化は、細胞のがん化を促す要因のひとつです。年齢が高くなればなるほどがんになりやすいのは、避けがたいことでもあるわけです。
がん検診は何歳まで受けるものなのか?
がん検診は、がんを早期に発見し、がんで亡くなる人を減らす目的でおこなわれるものです。日本では、がん検診の終了年齢についての定めはありません。80歳でも3~4人に1人はがん検診を受けています。一方、欧米の多くの国は74歳までとしています(大腸がん検診の場合)。 がんが早期の段階で見つかれば、体の負担が少ない治療法が選択できる可能性はあります。しかし、たとえば大腸の内視鏡検査にともなう穿孔(腸の壁に穴があくこと)のリスクは高齢になるほど高まります。そもそも年齢が高くなればなるほど、がんを治療しても寿命に差は出にくく、早期発見のメリットは少ないということもあります。 何歳まで受けるかは、一人ひとりの判断しだいです。
治療法そのものは年齢を問わず共通です
がんの進行度は一般にステージ0~4の大きく5つの段階に分けられます。数値が大きいほど進行している状態を示します。治療は、がんの範囲が限られていれば手術や放射線療法、ある程度進行している場合や血液のがんには、全身に作用する薬物療法を中心に進めます。 高齢でも基本は同じですが、がんの治療は多かれ少なかれ体に負担がかかります。薬の副作用の管理なども必要です。高齢の場合、治療の効果を求めるだけでなく、負担がかかりすぎないようにする配慮が必要です。