“執事”が明かす、超富裕層たちの意外すぎる日常。一般人との出会いは皆無、結婚相手で多いのは
野村総合研究所の定義としては、純金融資産額が5億円以上の世帯が「超富裕層」とされているが、2021年に行われた調査の結果では9万世帯と意外に多い。にもかかわらず、その実態はあまり知られていない。 超富裕層たちは、物価高や給料横ばいの現状に喘ぐ庶民とは無縁の、驚くべき生活を送っているという……。彼らは日々どんな暮らしをして、何に悩んでいるのか。 国内外の超富裕層向けに執事やメイドのサービスを提供する、日本バトラー&コンシェルジュ株式会社 代表取締役社長の新井直之さんに話を聞いた。
予定は「誰にも明かさない」、時にはウソの情報を流す
なかなか表に出てこない超富裕層たちの日常。彼らはどんな1日を過ごしているのだろうか。 新井さんは「前提として、彼らは予定を明かしません。むしろウソの情報を流すこともあります」と語る。「ウソの情報を流す」とは、どういうことなのか。 「ある外国人の超富裕層の方から『日本の別荘に行くから、2日後の夕方4時ね』と連絡があり、ドライバーや執事の手配をしました。すると直前に連絡が来て『ごめん、予定変更になった。3日後の夜8時ね』と言われたんです。手配しなおしたところ、また直前に予定を変更されて……3回目で、やっと来ましたね。 彼らは執事・ドライバー・空港関係者の中にスパイがいないか、常に気を配っているからです。空港や別荘で、反対勢力に待ち伏せされるケースは実際にあります。本当の予定を知っているのは、常にそばにいる執事1人だけ。家族ですら知らないこともあります」 完全にプライバシーが保たれていると思いきや、執事のほかにもボディガードが一緒なのだという。
友人や恋人との会話も「ボディガードに筒抜け」
「ボディガードはディナーの時も、交渉の時も、ずっとそばに立っています。お手洗いに行く時も例外ではなく、彼らは外で待ちます。TPOによって友達を装ったり、偶然近くを通りかかった通行人を装ったりします」 最低でも1人、多い時は7人が雇われることもあるというボディガード。その業務内容は、雇い主が襲われた時に身を守るだけではないそうだ。健康状態を悟られないように、鼻をかんだティッシュを回収したり、時には便も回収したりするのも彼らの役目だという。 いつも一緒にいるということは、プライバシーも何もないのではないか。 「もちろん、ご友人や恋人との会話も、すべてボディガードには筒抜けです。そのため超富裕層の方たちは、ボディガードが交代するのをすごく嫌がりますね。身元も確実な人が選ばれます」