金融リテラシー教育、企業の6割が内容を認識するも、取り組み企業は4社に1社にとどまる
従業員数が多いほど前向き、「1,000人超」で半数を上回る一方で、100人以下は3割に満たず
金融経済教育の認知度を従業員数別にみると、内容を「知っている」企業は「101~300人」が70.6%で最も高く、「301~1,000人」(70.0%)も7割台となった。一方で、「5人以下」は55.5%と、唯一5割台にとどまった。従業員の規模に比例して認知度は高まるものの、100人を超えると7割台で頭打ちとなっている。 取り組み状況は、従業員数が多い企業ほど前向きに考えている。内容を「知っている」企業のうち、従業員数が「1,000人超」の企業では50.6%が前向きであり(「既に取り組んでいる」33.7%と「取り組みたいと考えている」16.9%の合計)、次いで「301~1,000人」が45.5%で続いた。他方、「(今後とも)取り組む予定はない」では、「5人以下」が22.6%と2割を超えていた。
取り組み上の課題、ニーズのバラつきによるまとまった教育の困難、人材・時間の不足が3大要因
金融経済教育の内容を「知っている」企業6,913社に対して、金融経済教育に取り組むうえでの課題について尋ねたところ、「社員のニーズにバラつきがあり、まとまった教育が行えない」が39.5%で最も高かった(複数回答、以下同)。また、「教育を行う人材がいない」(38.5%)、「教育を行う時間が割けない」(34.2%)がいずれも3割台で続いた。 次いで、「何を教えればよいか分からない」(16.9%)、「教育を行うための費用が捻出できない」(15.2%)が続き、教える内容や費用面での課題は1割台にとどまった。
社員の関心や求めるニーズの多様化、人材不足が壁に
本調査によると、企業の6割超が金融経済教育の内容を知っていた。しかし、その中で前向きに考えている企業は4社に1社にとどまる。その理由として、多様なニーズを自社でまとめきれないことのほか、人材や時間の不足が3大要因となっていることが分かった。 政府が金融経済教育を進める背景には、「貯蓄から投資へ」のキーワードをベースに個人の経済的自立や生活設計の支援だけでなく、超高齢社会への対応や金融市場の複雑化、デジタル化の進展、国際競争力の強化などがあげられる。 金融リテラシーの向上は、持続可能で安定した経済社会を実現する一助となる。そのため、政府・民間企業・金融機関が協力し、実践的な金融教育プログラムをより一層提供すべきであろう。 調査概要 調査対象企業:2万7008社 有効回答企業:1万1133社(回答率41.2%) 調査期間:2024年10月18日~10月31日 調査方法:インターネット調査