金融リテラシー教育、企業の6割が内容を認識するも、取り組み企業は4社に1社にとどまる
政府は、「貯蓄から投資へ」の動きを促す一環として、金融経済教育の充実を推進している。従業員に対する金融経済教育は、社会的な意義とともに従業員エンゲージメント(従業員と企業の結びつきの強さ)の向上につながると考えられ、企業にはより積極的な関わり方が求められている。 そこで、帝国データバンクは、金融経済教育に関する取り組み状況について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2024年10月調査とともに行った。
金融経済教育、内容は62.1%が認知も、前向きな企業は4社に1社にとどまる
金融経済教育について、その内容を知っているか尋ねたところ、「知っている」企業は62.1%と6割を超えた。他方、「知らない」は28.6%、「分からない」は9.3%だった。 金融経済教育への取り組み状況では、内容を「知っている」企業6,913社のうち「既に取り組んでいる」は12.4%、「取り組みたいと考えている」は14.7%と、両者を合計した取り組みに前向きな企業は27.1%で4社に1社にとどまった。一方で、「取り組んでいない」企業は56.3%となり、認知していても取り組みを進めていない企業が半数を超えていた。さらに、「(今後とも)取り組む予定はない」とする企業も16.6%あった。 現在「既に取り組んでいる」企業からは、 ・「金融機関職員を講師とした勉強会を開催している」(生菓子製造) ・「中小企業は教育・研修などを受講する文化などが今までなかった。価値観が違いすぎる面はあるものの、時間をかけてやることがとにかく大事であると思っている」(木造建築工事) ・「DC(確定拠出年金)をもとに金融教育を行っている」(サッシ卸売) ・「社内内部留保に関する運用の仕組みの開示や、会社のメインバンクの残高・出納の開示など、会社の経営状況を題材に落とし込んでいる」(デザイン業) といった意見が聞かれた。 一方で、「取り組んでいない」企業からは、 ・「金融経済教育を企業が行うのではなく、金融庁などの公的機関がリモートなどで講習会を開くのが一番良い方法」(自転車小売) ・「金融経済教育は、実践的な内容を学生時代の早い段階から実施してほしかった。社会人になると、資産形成や、それを実行するための勉強時間や環境を捻出・調整しにくい」(施設野菜作農) などの声もあがっていた。