ピックルボールはなぜ米国で大ブレイク? セレブも続々 もはやバスケやゴルフに匹敵
体への恩恵もたくさん
ピックルボールが体にもたらす恩恵も同じく魅力的だ。 「ピックルボールは下半身と上半身の両方を使うので、全身運動として素晴らしいです」とヘメンディンガー氏は言う。 ピックルボールは、ハムストリングス(太ももの裏)、でん筋(おしり)、大腿四頭筋、ふくらはぎなどの下半身の筋肉、さらに上腕三頭筋、大胸筋、三角筋(肩)、脊柱起立筋(背骨の両側)やすべての体幹筋などの上半身の筋肉を鍛えて引き締める。 「走ったり、ジャンプしたり、様々な方向に動いたりするたびに、体の構造全体がそれぞれの動きに適応するよう促されるため、さまざまな筋肉群が影響を受ける可能性があります」と、ピックルボール選手の治療とコーチングを専門とする米アリゾナ州在住の理学療法士ランドン・ウエッツ氏は言う。 また、これらの動きは関節や骨の健康も改善するうえ、30分のゲームで200~300キロカロリーを消費する。これは、一定のペースで30分間歩くより36%も多いカロリー消費量だ。 ピックルボールは血液の循環もよくする。2018年6月に学術誌「International Journal of Research in Exercise Physiology」に掲載された研究により、プレー中の平均心拍数は中強度の運動に相当し、「心肺機能の向上、血圧の低下、コレステロール値の改善」をもたらすことが示されていると、この研究の共著者であるダレック氏は言う。 エドワーズ氏は、ピックルボールが手と目の連動を助け、神経と筋肉のコミュニケーションや、姿勢とバランスの改善に役立つ点もたたえている。「いずれはうまく運動の協調ができるようになり、ドロップショットやスマッシュを打ったり、サーブやリターンショットにスピンをかけたりもできるようになります」と氏は言う。 これらの利点は、65歳以上の高齢者にとって特に有益だ。高齢者は加齢による活動レベルの低下の影響を最も受ける。「加齢に運動不足が重なると、健康レベルの低下が加速し、2型糖尿病や心臓病などの様々な慢性疾患のリスクを著しく高める可能性があります」とダレック氏は説明する。 ダレック氏の研究チームは、この年齢層を特に調査し、ピックルボールをプレーする高齢者の心肺機能のレベルが平均して約12%向上したと明らかにした。 「この改善は重要な恩恵をもたらします。10%改善するごとに、心血管疾患による死亡リスクが15%減るからです」と氏は説明する。それこそが「中高年層はピックルボールのようなアクティビティやスポーツを始めることで最も大きな恩恵を受ける可能性がある」理由の一つだと氏は言う。