【密着】年の瀬の“年金事情” 孫のお年玉「頭が痛い」、段ボールをカーテン代わりに 寒さ本格化…暖房も我慢『every.特集』
■「働かないと食べられないから」
年金だけでは生活が厳しく、働く高齢者も増えています。 76歳の男性はひと月9万5000円ほどの年金をもらっていますが、「タクシーの運転手。夜9時ごろから北千住の駅でやっている」。週4日、明け方まで働いているといいます。「正直、年金で食べていければ仕事は辞めている。働かないと食べられないから」と話します。
■ギリギリの生活…仕事を求め説明会に
一方、働こうとする人にも厳しい現実がありました。 都内に住む83歳の中井さん。ひと月の年金は約16万円です。日々の生活費や医療費、購入したマンションの維持費などのお金がかさみ、生活はギリギリだといいます。 「ブロッコリー、きのう(買い物に)行ったら279円かな。何も買えないから見るだけで買う気にならない」 定年間際まで生協の職員として働いた中井さん。退職後はパートなどもしていたといいますが、70歳を超えてからは働いていなかったといいます。 ただことし6月、10年ぶりに働こうとシルバー人材センターの説明会に足を運んでいました。「年金でどうやって生活するんだろうと思っていたから、とにかく何か仕事しないといけないと思って」と中井さんは振り返ります。 「あと何万円あったら生活できそうですか?」という質問に、中井さんは当時「最低でも(仕事で)3万円。本当は」と答えていました。
■「できる仕事あるのかな」…厳しい現実
あれから約半年。仕事はどうなったか聞いてみると、中井さんは「こういう仕事がありますとか、お便りがくるんですよ。植木の剪定(せんてい)だとか、自転車の整理だとか」と言います。 求人の情報は届くものの、「83歳になってからとにかく日々体力が落ちていく感じというのか、歩くのがどんどん遅くなっていくとか。立ったり座ったりが機敏にできないだろうと思うと、できる仕事があるのかなって思ってしまって」と漏らします。 体力的に自信がなく、仕事にはつけていないといいます。それでも「足が動くうちに、まだもう一回くらい国内でも旅行くらいはしたいなと思ってはいる」と中井さん。自分にできる仕事を探していくつもりだといいます。 厳しい生活を話してくれた年金受給者の皆さん。多く聞かれたのは、「年金もうちょっとあげてもらいたいけど、無理だろうけどさ…」といった声でした。 (12月20日『news every.』より)