【密着】年の瀬の“年金事情” 孫のお年玉「頭が痛い」、段ボールをカーテン代わりに 寒さ本格化…暖房も我慢『every.特集』
■国民年金のみの平均受給額は?
老後の生活に欠かせない年金。厚生労働省の令和4年度資料によると、ひと月あたりの年金受給額の平均は、国民年金のみの場合で約5万6000円、国民年金と厚生年金の両方の場合で約14万5000円だといいます。 多くの人から聞かれたのは、「年金生活は我慢の積み重ねだ」という声です。 ひと月の年金約12万円の85歳 「2か月でギリギリの生活。出かけない、贅沢(ぜいたく)しない。あるもので生きながらえる」 ひと月の年金約3万円の79歳 「野菜がほとんど高いから野菜なんか食べられない。納豆とかとろろとか、そういうものを食べている。しんどいことはしんどいね」 ひと月の年金が約8万5000円の73歳からは、こんな嘆きも聞かれました。 「一生懸命仕事して、年金で1か月食べていけるようにといって、かけていた。もっともらえるんじゃないかと思っていたのよ。そうしたら全然もらえないんだよ」
■寒さが本格化 どう乗り切る?
厳しい生活に追い打ちをかけるのが、2週間ほど前から本格的になった寒さです。ひと月の年金が約10万円の77歳は電気代節約のため、寒さに耐える日々です。 「なるべく家の中では厚着をして暖房費を節約。靴下とか首にマフラーを巻く。(今年は)暖房はつけていないです。部屋の中の電気は使わないところは消して、トイレの便座の電気も保温のやつを消して。年金生活大変ということを放送してください」 ひと月4万円ほどの年金をもらう男性(83)は、節約のためあえて外出しているといいます。「3時間ぐらい家にいない。朝晩散歩にいく。家にいるとテレビつけて暖房つけるから。なるべく散歩したほうが光熱費がかからない」
■“プチ贅沢”…中トロや天ぷらに舌鼓
ただ、支給日だけは特別なことをしたいという人も。ひと月の年金が約14万円という81歳の女性は年金を下ろし、その足で2か月ぶりに和食レストランへ向かいました。 「和食屋さん、よく行っていたところ。きょうは気分変えて食べようかなと思っています」。1600円のプチ贅沢ランチを楽しんだそうです。 プチ贅沢の光景は、東京・大田区の回転すし店「回し寿司 活」グランデュオ蒲田店でも見られました。「お疲れさま」と乾杯していたのは、年金受給者の3人です。 「(年金支給を)ずっと待っている。待ちに待っている」「よく言うわよ~」「ほんとよ」「いくらおいしい」と会話も弾みます。月2回、みんなでおすしを食べるのが恒例の楽しみなんだそう。 そのうちの1人は「(いつも頼むのは)6皿くらい。飲んで(1人)1800円くらい」と言います。 別のテーブルでは「目の前で握ってくれるすし、ここらへんに憧れるよね」とご満悦な客の姿が。ほどよい甘みでしっかりと脂の乗った中トロがお気に入りだといいます。「すしは日常ではないもんね。私にとって最上位ですよ」