「電子ペーパー市場」で起きている2つの大きな変化、カラー化でデジタル文書管理の効率化が加速
富士通クライアントコンピューティング(FCCL)は19日、電子ペーパー「QUADERNO(クアデルノ)」のカラー表示対応モデルを発表した。本物の紙とペンのような「書きやすさ」と「読みやすさ」を実現した超軽量・薄型の電子ペーパーで、PCで作成した文書をプリントアウトする代わりに電子化して閲覧したり、手書きで書き込みを加えたりできる。 【写真】電子ペーパー端末だが「紙の手帳」のように予定を書き込める A4サイズとA5サイズの2モデルを用意し、22日より発売している。FCCLは、ワコムのデジタルペン技術とE Ink社のカラーディスプレイを採用。アナログの良さとデジタルの利便性を両立させた次世代ツールとして、ペーパーレス化が進む中での新たな選択肢を提案する。
■市場の変化とカラー電子ペーパーの登場 電子ペーパーデバイス市場では、2つの大きな変化が起きている。 1つは電子書籍リーダー各社による手書き入力機能の搭載だ。AmazonのKindle Scribeや楽天のKobo Elipsaは電子書籍リーダーに手書きノート機能を加え、従来の読書デバイスから用途を広げている。 もう1つの変化が、カラー電子ペーパーの登場である。E Ink社が色の表現力を高めた新技術を開発し、4096色表示が可能になった。これを受けてAmazonは10月、アメリカで初のカラー電子ペーパー搭載Kindleを発表。
日本での展開は未定だが、電子書籍市場での影響力を持つ同社の参入は市場の転換点となりそうだ。中国BOOXも数機種のカラー電子ペーパー端末を展開するなど、市場の動きが活発化している。 各メーカーの製品アプローチにも特徴がある。電子書籍リーダーベースの製品は、電子書籍ストアとの連携を生かしながら手書き機能を追加。BOOXシリーズなどの汎用タブレット型製品は、Android OSを搭載して多様なアプリケーションが使える設計だ。
これに対してクアデルノは、PDF閲覧と手書き入力に特化した専用設計を採用している。アプリケーションを起動する機能は持たず、文書作業に最適化された純粋なデジタルペーパーとしての性格を明確にしている。PDF閲覧と手書き入力という基本機能に集中することで、ビジネスや学習での文書作業をスムーズにこなせる製品となっている。 FCCLは2018年12月の発売以来、モノクロ表示で展開してきたクアデルノを、このタイミングでカラー化に踏み切った。電子ペーパーのマイクロカプセル層とタッチパネル層の間にカラーフィルターを挿入する技術を採用。8色のシンプルなカラーパレットを実現し、用途に応じた色を直感的に選べるよう配慮した。メインペンとハイライトで初期カラーを分けることで、各ペンの機能が瞬時にわかる仕様となっている。