「電子ペーパー市場」で起きている2つの大きな変化、カラー化でデジタル文書管理の効率化が加速
音楽分野では楽譜のPDFを表示して演奏時に使用するニーズが見つかり、今年2月にBluetoothフットペダルへの対応を開始。両手で演奏しながら足元でページをめくれるようになった。今回のカラー化では新たにBLE(Bluetooth Low Energy)に対応し、使用可能なフットペダルの機種を大幅に拡大。 さらに発表会用の曲リスト作成や、練習時に必要な楽譜をすぐに呼び出せる「お気に入り機能」も追加した。カラー化により、楽譜への赤入れやポイントの書き込みが容易になり、演奏時の重要なポイントを視覚的に整理できるようになった。
■基本機能と特徴 本体は薄型・軽量設計を採用し、わずか6mmの薄さでA4サイズが約368g、A5サイズが約261gを実現。バッテリー性能も充実しており、USB Power Delivery充電器接続時は約2.5時間のフル充電で最長約2週間の使用が可能だ。通常のUSB充電では約7時間の充電時間となる。 データ管理は「My Note Cloud」との連携により、クラウドバックアップや全文検索に対応。手書きのメモやPDF内の文字列をOCRで認識し、日本語/英語でのキーワード検索が可能だ。
電子ペーパーにはほかの表示装置にない独特の特徴がある。画面自体が光ることがなく、周りの光を反射して表示する仕組みを採用しているため、長時間読み書きしても目が疲れにくい。しかし一方で、画面の表示を切り替える速度が液晶より遅く、動画の再生には向かない。 カラー表示が可能になった現在でも、スマートフォンやタブレットのような鮮やかな発色は期待できない。また筆圧検知には対応していないため、線の濃淡表現が必要なイラストの描画には不向きだ。こうした特性はクアデルノの弱点と言えるだろう。
読むことと書くことへのこだわりを持つユーザーに支持されてきたクアデルノは、カラー化により新たな進化を遂げた。8色のカラー表示により、書き込みの区別や情報の整理が容易になり、文書の視認性も向上。デジタルでありながら紙のような読み書き体験を追求している。 A4サイズで8万円弱、A5サイズで6万円弱という価格は高級タブレットに匹敵するが、紙のような読み書き体験にこだわる人には、その価値が理解されるだろう。
石井 徹 :モバイル・ITライター