【40代・50代の睡眠改革】脳は1日に3万5000回判断しています!
「夜書いたラブレターを相手に渡してはいけない」。こんな話を耳にしたことはないだろうか? 「昔なら、夜にアレコレ考え情熱に任せた勢いで書いた手紙をそのまま投函。今ならLINEやメールで悩んで書いて、はい!送信。でも、やっぱりこれ、ちょっと待って! 理由は、夜の脳って『疲れてる』んですよ」と話すのはネムリノチカラ代表・快眠コンシェルジュのヨシダヨウコさん。今回は脳の疲労と睡眠について話してくれた。
「朝からずーっと、あなた自身の些細な事から大きな決断まで四六時中判断を迫られて、脳はクタクタ疲労困憊状態。 誰に聞くでもなく、まずは朝目が覚めて『今日は雨か。外に行く予定もあるし寒さ対策も必要。となると何を着る?』予定した服装を大幅にチェンジする事になり、クローゼットの前であーでもない、こーでもないと試行錯誤するわけです。 洋服が決まっても、次は朝ごはん何にする? 会議の資料仕上げた? 週末友人との約束は何時だったけ? などととにかく湯水のように頭の中に疑問、質問が湧き上がります」 特に現代人の脳の疲れを加速させるスマホ。 「私自身もこの頃の夜の頭の疲れをすごく感じます。調べたいことがあってスマホを手にしたのに、検索画面ではなく、ふと目に止まったメールに返信、関連する方々にも送信。さらに気になる記事を読んでしまう。そうこうしているうちに最初の調べ事がずいぶん後回しになって、覚えていないことすらある始末。 さらに、どんな言葉を発する? 歩く? 座る? といったことまで、ケンブリッジ大学の研究によると、1日に自問自答する回数は最大3万5000回とも言われています。 もちろん個人差もありますが、『脳さん!一生懸命働いてくれて、ありがとう』と言いたくなる回数です」 さまざまな研究結果でも、脳の疲労度は午前中より午後、午後より夜に高くなることが分かっているそう。 「例えば夕方や夜になると裁判官のジャッジメントなどが緩くなる傾向があるといわれています。人は意識してそうしているわけでもなく、疲れと共に徐々に判断能力が低下していきます。 この判断能力の回復のカギは「睡眠」です。瞼を閉じ、スマホや目から入る情報を周囲から遮断して眠ることで、脳は今日一日をじっくり振り返って『これは必要な情報、これはいらない情報』などと整理ができるわけです。 その時間がとれない、とらないことで、脳はリカバリーの機会を失って、疲労したままますます判断能力は低下していくでしょう。それは自分でも気が付かないうちに進行し、そして慢性化していくことになります。 だからこそ、日々の睡眠を大事にして、あなたの大切な判断を間違えないようにしたいものですね」 【話してくれたのは】 ヨシダヨウコさん ネムリノチカラ代表。快眠コンシェルジュ。日本睡眠学会正会員。寝具店の娘として生まれ、心地よい睡眠を幼児期より体験するが、社会人になりたての頃、働きすぎで体調を崩す。また、実母の介護生活からも睡眠の重要性を再認識する。 漢方、発酵食、アロマ、呼吸、瞑想、ストレッチなどを取り入れ、日々「質の良い睡眠」を探求しながら、各方面へ発信中。代表を務めるネムリノチカラでは、企業の健康経営セミナーや個人の睡眠相談に応じるなど、睡眠全般についてのサポートを行っている。著書に『眠りのチカラ タイプ別睡眠改善&リッチ睡眠TIPS 101』(みらいパブリッシング)がある。