来年度予算案115.5兆円と過去最大、歳出平時化遠く-税収増で歳入改善
(ブルームバーグ): 政府は27日、2025年度当初予算案を閣議決定した。社会保障費や防衛費の伸びを背景に一般会計総額は2年ぶりに増加し、過去最大を更新した。税収の大幅な伸びを見込み、歳入に占める国債への依存度は27年ぶりの低水準となったが、歳出構造を平時に戻す道のりは遠い。
一般会計総額は115兆5415億円。歳出では、全体の約3割を占める社会保障関係費が38兆2778億円、防衛力整備計画の対象経費が8兆4748億円といずれも過去最大。国債の元本返済と利払い費を合わせた国債費は、市場金利の上昇を踏まえて想定金利を2.0%に引き上げたことなどに伴い、過去最大の28兆2179億円となる。
一方、歳入面では税収を過去最高の78兆4400億円と見込む。経済の成長に加え、今年の定額減税による減収要因がはく落したことなどが税収を押し上げる。不足分を補う新規国債の発行額は28兆6490億円と17年ぶりに30兆円を下回り、歳入全体に占める国債の割合は24.8%と1998年度(20.0%)以来の低水準となる。
財政再建への配慮も見られるものの、実際は税収増頼みとも言える。コロナ禍で膨張した歳出規模の平時化が求められる中、歳出増が続く。先行きは日本銀行の金融政策正常化などを背景に金利の上昇が見込まれ、国債の利払い費増加が財政を一層圧迫する恐れがある。税収増の局面で歳出改革が進まなければ、政府の財政健全化への姿勢が問われることになる。
大和総研の神田慶司シニアエコノミストは、「歳入は比較的堅調に増えてきている一方で、歳出については甘い状態がずっと続いてしまい、緩んだまま戻っていない」と指摘。補正予算も含めて歳出の水準そのものを抑制しないと財政健全化は進まないとした上で、「少数与党なので、歳出の抑制がより難しくなっている」との見方を示した。
デフレ型経済からの脱却を掲げる石破茂政権は「賃上げと投資がけん引する成長型経済」の実現を目指している。予算の策定にあたっては、「経済あっての財政」との考え方の下、重要政策課題に必要な措置を講じつつ、歳出改革努力と財源確保の取り組み継続を通じてメリハリをつける方針を示していた。