さとうほなみの役者魂 “ゲス乙女”以前からあこがれた演技の道
「まんぷく」でNHK朝ドラにも出演
その後さとうは俳優活動を強化、「黒革の手帖」と同年に「さくらの親子丼」(フジテレビ系)の第6話に出演すると翌2018年には新川優愛のドラマ初主演作「いつまでも白い羽根」(同局系)にレギュラー出演を果たした。看護学校を舞台にしたドラマで、さとうは物語を盛り上げる重要な役どころで出演している。 「看護学生の遠野藤香役でしたが、13歳の時に妹を手術ミスで亡くしボロボロになった両親が離婚、そのときの執刀医を探し出し復讐するため看護学校に入学したというワケありの役です。初主演でフレッシュな新川さん、演技派の伊藤沙莉さんらそれぞれ光るキャストが揃っている中で、さとうさんはなかなかの難役を好演し、かげりのある美しさが印象的でした」(前出・編集者) 続いてドラマ、舞台と出演を重ね2019年にはNHK連続テレビ小説「まんぷく」で初の朝ドラ出演も果たした。同作は前年10月からスタートした安藤サクラをヒロインとした作品で、さとうは19年1月放送の第84話~第88話に花村奈保美役で出演している。その他にも「ルパンの娘」(フジテレビ系)、「シェフは名探偵」(テレビ東京系)、「初情事まであと1時間」(TBS系)などに単発出演。2020年には大倉忠義主演の映画「窮鼠はチーズの夢を見る」(行定勲監督)にも出演している。
取材から伝わってきた役者魂
そして今年2021年、俳優として大きな飛躍の年となったさとう。ネットフリックスで4月に配信スタートした「彼女」では水原希子と共演、夫からのDVに苦しむ篠田七恵役を演じて話題となった。このとき筆者はさとうを取材しているが、撮影期間は友人はじめ周囲の人々と連絡を断って作品に集中していたと話していた。 さとうは「私は不器用で、そうしないと役に集中しきれないところがあって、現場でも周りの方たちとあまり話さないようにしていたので大変感じが悪かったとは思うんです。でもそのぶん七恵の精神状態を心で理解する度合が強くて、撮影中はずっと辛い状態が続きました」と撮影を振り返っていた。またさとうはこのとき芝居について「好きだと思える役をやっていたいな、と思っています。好きということは自分自身が仕事を楽しめるということでもあり、その過程には辛さや苦しさがあってもいいし、全部ひっくるめての『好き』だと思うんです。これまで辛いからやめたいと思ったことも一度もないですし、本当に好きだと思えることの一つとして芝居が私の根本的な部分にあるのでこれからもずっとやっていたいですし、いろいろな役が今後もできたらいいなと思っています」とも話していたが、心身を削って役と向き合う姿勢からは役者魂が十分過ぎるほど伝わってきた。さらなる活躍に注目したい。 (写真と文・志和浩司)