今の能登を知り、これからの能登を考えよう!「ESqUISSEコラボレーションチャリティイベント NOTO NO KOÉ」をレポート
――クリスさん「お二方のこれからのことをお聞かせいただけますか?」
――平田シェフ「僕は店も再開でき、生活も元に近づいていますが、仕事はなくなり、仮設住宅暮らし、ライフラインもまだ復旧していないといった不自由な生活をされている方が大勢います。ここにきて格差が広がってきているように感じます。良いところだけを捉えるのではなく地域全体が向上するように考えていかなければと思います。それと今回、池端シェフが来てくれたことが何よりうれしくて。東京に着いた時には精神的にダメージを受けているのが明らかで、料理どころじゃない状態で……。輪島でこういう料理を作るシェフは池端さんしかいない、能登の財産だと思うので何とか立ち直ってもらいたかった。でも仕込みをしているうちに楽しそうに料理を作ってくれるようになって。それを見られただけでも良かったなと、こういうイベントってすごいな、と思っています」
――池端シェフ「イベントはこれからなんだけど(笑)。2月中旬から炊き出しに輪島市から助成金が1日3食分で1,230円、給付されることになったんです。それを人件費に充てることができました。今は提供する数が減ってきたので、支援金で輪島市内の倒壊しなかった平屋を購入し、20人の炊き出しメンバーで地元の人たちが集まれる居酒屋を始めたいと思っています。飲食店の灯が街にともるだけで気持ちが明るくなると思うんです」
最後に両シェフから出た言葉は「食べる人がいてくれることがモチベーションにつながる」「料理をしている時が生きていると実感する」でした。地震直後は有り余るほどあった気力が数カ月経つと見えない先行きに消沈し、奮い立たせようにも自分ではどうにもできないこと、必要なものは時間と共に変化していくことなど、被災を経験していない筆者には想像できないことばかりでした。
起きることすら苦痛な赤木さんが輪島塗の存続に奮起していること、人と会うこともできなくなった池端シェフがこのイベントで「料理します!」と笑顔で答えたこと、池端シェフの料理する姿がうれしいと涙ぐんだ平田シェフに胸が締め付けられました。能登のために私たちができることは何か、今こそ考え、行動すべきなのです。