東京五輪マラソン代表の一発選考方式の是非。 強化につながるのか
日本陸連が2020年東京五輪男女マラソン代表の選考方針を発表した。各新聞社の記事を読んだが、大手新聞社は各大会を共催していることもあり、「2枠は一発選考、1枠はタイムで選ぶ」という“ポジティブ”な論調で書かれている媒体がほとんどだった。しかし、現在の日本のレベルを考えると、事実上の一発選考になると思っていいだろう。 今回の選考では最重要選考会として新設される「マラソングランドチャンピオン(MGC)レース」で少なくとも2枠が選ばれることになる。従来とはまったく違う新方式となるが、まずは選考要綱を見ていただきたい。「本大会でのメダル獲得を目指し、最大限持てる力を発揮する『調整能力』と、世界と戦う『スピード』を有する競技者から日本代表を編成する」という編成方針に基づき、以下の優先順位により、日本代表選手を選考することになる。 (1)マラソングランドチャンピオン(MGC)レースの優勝者 (2)MGCレース2位または3位の競技者の内「MGCレース派遣設定記録(男子2時間05分30秒/女子2時間21分00秒)を突破したMGCレース 最上位の競技者 (3)選考基準(2)を充たす競技者がいない場合、MGCレース2位の競技者 (4)MGCファイナルチャレンジにおいて、「MGCファイナルチャレンジ派遣設定記録(2019年5月に発表予定)」を突破した記録最上位の競技者。ただし、MGCシリーズに出場(完走)、またはMGCレースの出場資格を有することを条件とする。 (5)選考基準(4)を充たす競技者がいない場合、選考基準(2)を充たしていないMGCレース2位または3位の競技者 上記の要綱で気になるのが(4)だ。 MGCファイナルチャレンジは男子が福岡国際、東京、びわ湖毎日。女子がさいたま国際、大阪国際、名古屋ウィメンズとなるが、未発表のMGCファイナルチャレンジ派遣設定記録は、ロンドン世界選手権の派遣設定記録(男子2時間07分00秒/女子2時間22分30秒)に近い好タイムが要求されるはず。女子はともかく、男子は難しい。そのうえ、マラソンは気象条件、レース展開でタイムが大きく変わってくる。タイム以外は判断材料にならないことを考えると、MGCファイナルチャレンジで代表を狙うのはリスクが高い。有力選手は必然的にMGCレースで代表を目指すことになる。