<北陸新幹線の観光効果>老舗長野の“小さな開国” 強敵は金沢?
思い描く「沿線周回モデル」
迎え撃つ長野県の戦略の一つは、県内主要駅のJR長野駅が北陸新幹線のほぼ中間地点に位置し、地理的にも北信越の中央にあることを生かした「沿線周回モデル」です。 信州長野県観光協会は、現在東京から長野経由で金沢に向かう動きはゼロに等しいが、延伸により現在、越後湯沢経由の東京~金沢間の乗客は、ほぼ全部が長野を経由すると見ます。その県内通過の輸送量は現在の1.7倍に急増し、東京、長野、金沢、大阪、名古屋を円状にめぐる周回軌道内に延伸効果が生まれると見込みます。そして、その県内域に観光客を通過・滞在させるため「立山・黒部アルペンルート」「上高地」「軽井沢」の3拠点を戦略的な観光基点と位置づけ、沿線の軽井沢、佐久平、上田、長野、飯山各駅の観光ハブ化(拠点化)進めるとしています。 県内各地域の取り組みの一つとして、長野市の長野商工会議所は金沢延伸と善光寺のご開帳に向け、中心市街地にとどまらず戸隠、松代などへの広域的な回遊が可能になるよう市に要望。長野市も長野駅の駅前広場整備や、駅構内にある市の観光情報センターのリニューアルなどを進めています。昨年2月には「関係職員らがスマホやネット関連のツールを活用して誘客情報を発信しよう」と、長野県、長野商議所主催で長野市で「長野地域 情報発信力向上フォーラム」を開催。専門家を招いて善光寺ご開帳、金沢延伸に向け市町村や商議所などの職員の情報発信力の強化をいかに進めるかをテーマに関係職員ら100人近くが参加しました。 一方、延伸で新幹線飯山駅が設けられた飯山市では、市や商議所による飯山駅開業イベント実行委員会が開業200日前イベントなどで盛り上げを図ってきました。新幹線飯山駅は全長300メートル以上の巨大駅舎。地域のシンボルとして今後も市民の期待を集めそうです。2010年に策定した「回遊性のあるまちづくり(まちなか観光)第二次アクションプラン」では、新幹線飯山駅開業を軸に、飯山駅と周辺の観光資源を結ぶ環境の整備、まちなか散策のためのボランティアの育成、ガイドブックの作成、商品開発など多くの振興策を盛り込んできました。