【スーパーGT】性能調整がフェアじゃない! 元F1ドライバーから不満あがるほどのパフォーマンス見せる2号車muta。速さの秘訣はクルマづくりの緻密さか
まさに圧巻のパフォーマンスだった。スーパーGT開幕戦岡山を制してGT300クラスでランキングトップにつける2号車muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)は、第3戦鈴鹿では50kgを超えるサクセスウエイトを積みながらも、予選3番手から2位でフィニッシュ。2回のピットストップのうち1回をタイヤ無交換で送り出すお家芸とも言える戦略も決まったとはいえ、チームの想定をも超える好結果となった。 【動画】2024 スーパーGT第3戦鈴鹿:決勝ハイライト(GT300) これで2号車はランキングトップの座を守ったのはもちろんのこと、第3戦を終えた段階でランキング2番手以下に17点もの大差をつけた。次戦の第4戦富士からはサクセスウエイトの上限値が50kgになるが、ランキング上位の車両は既に軒並み50kg近くのウエイト量になっているため、ライバルは軽さを武器に追い上げるということもできない。こういった状況も、2号車にとって追い風になっていると言える。 そんな2号車のパフォーマンスには、ライバルから驚きの声があがっている。そして中には、不満を訴える声も聞こえてきている。 鈴鹿戦で3位に入り、今季初表彰台を獲得した6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIのロベルト・メリは、性能調整(BoP)が機能していないのではないかと憤慨しているひとり。X(旧Twitter)でも2号車のBoPに「ジョークだ」と私見を述べていたが、表彰式後に改めてその見解を尋ねると、熱のこもった口調でこう語った。 「50kgくらいのウエイトを積んだ2号車が表彰台に立っているのを見ると、フェアだとは思えない。だって(搭載ウエイトが0に近い)僕らよりも速いんだ。ウエイトを下ろせば、僕らよりも1秒速く走ることだって簡単にできてしまうかもしれない」 「僕らはかなり頑張っているからこそ、こういう難しい状況になっていることにすごく怒っているんだ。僕はスペインからこっちに来ているし、ヨシ(チームメイトの片山義章)だって自分のドライビングを改善するよう努力していて、今回はそれら全てを完璧にやり遂げることができたと言える。でも50kgくらいのウエイトを積んだ2号車が、僕らの前でフィニッシュしたんだ」 「BoPはパフォーマンスを均等化して、バトルをフェアにするために作られているはずだ。日本でそれ(BoPを適用するレース)があることはとても良いことだと思うけど、あれだけ速いマシンがいるとなると、上手くいっていないということだろう」 このように、チームの頑張りが報われていないことへのもどかしさを語ったメリ。それだけではなく、メリは元F1ドライバーであり、F2、F3などのヨーロッパのシングルシーターでも数多くの実績を残してきた存在。そういったプライドもあるからこそ、2号車のドライバーたちに対して実力で劣っているはずがないという思いが、BoPに対する不公平感を助長しているようだった。 「あそこのドライバーたちが飛び抜けてすごいからというわけではないだろう。僕だって元F1ドライバーでF3も勝っている。才能あるドライバーがたくさんいる中で、ポイントを獲得するのにも苦労している人たちがいるんだ。いつも彼ら(2号車)が前にいるのはあり得ないと思う。努力が報われないという点でも、僕やチームにとってフェアとは感じない」