変わる大学入学共通テスト 問題数が増え、試験時間が延長…2025年度からの変更点
国公立大学はもちろん、多くの私立大学の入試で利用されている大学入学共通テストは、2025年1月実施分から、出題教科に「情報」が追加されるなど、新教育課程に対応してその内容が大きく変わります。主な変更点をまとめるとともに、大学入試センターで審議役を務める森下平さんに25年度以降の方向性などを聞きました。 【写真】終了時刻は10分後ろ倒しに 共通テストの時間割(イメージ)
文部科学省は高校で学習する内容(学習指導要領)を時代の変化に応じておおむね10年ごとに見直し、新しいカリキュラムを組んでいます。直近に改訂された新学習指導要領に則した授業が行われているのは、22年4月に高校に入学した生徒(現在の高校2年生)からです。共通テストも、その生徒が大学受験をする25年に、新学習指導要領に対応した内容に変更されます。 大学入試センターで審議役を務める森下平さんは、こう話します。 「新学習指導要領では、知識や技能の習得だけではなく、それを実社会で応用するための思考力・判断力・表現力などをバランスよく育むことを目指しています。共通テストの問題作成に当たっては、こうした能力を評価するため、学習の過程を重視し、問題の構成や場面設定を工夫するとともに、多様な受験生が十分に力を発揮できるように出題の構成や内容、分量、表現などに配慮したいと考えています」
「地理、公民」で大きな変更
25年度の共通テストの出題教科は、現行の「国語」「地理歴史,公民」「数学」「理科」「外国語」に、新教科の「情報」を加えた6教科となります。各教科で次のような変更が行われます。
【各教科の変更点】
■国語 ・試験時間が現行の80分から90分に延長。 ・近代以降の文章の問題は、資料から読み取ったことをもとにレポートを書くなど、「言語活動」の過程をより重視。多様な資質・能力を問う大問が1問追加され、全3問に。配点は3問で110点。 ・古典は、古文と漢文が1問ずつ。配点は、現行の各50点から各45点に。
■地理歴史、公民 学習指導要領の変更に伴って、共通テストの出題科目も『地理総合,地理探究』『歴史総合,日本史探究』『歴史総合,世界史探究』『公共,倫理』『公共,政治・経済』『地理総合/歴史総合/公共』の6科目に再編され、最大2科目を受験することができる。ただし、2科目を受験する場合は、組み合わせ不可の科目があるので注意が必要。また、受験する科目の数(1科目か2科目か)は、出願時に申請する。 ■数学 「数学②」は『数学Ⅱ,数学B,数学C』1科目のみの出題。問題数が増え、試験時間が60分から70分に延長される。 ■理科 現行は理科①と理科②を別々の時間帯で実施しているが、一つの時間帯の中で最大2科目を受験することになる。選択できる科目の組み合わせについては従来通り。 ■外国語 出題形式は従来通り。総合的な英語力を評価。 「試験時間や配点、リーディングとリスニングという出題形式(原則として両方を受験)は従来通りですが、文字や音声による試験の特徴を生かしながら、『聞く』『読む』『話す』『書く』を統合した総合的な英語力を評価します。そのための工夫の例として、英文を推敲(すいこう)する場面や、講義の要点を確認して考えを述べ合う場面を扱った試作問題を公表しています」(森下さん) ■情報 新しい学習指導要領で「情報Ⅰ」が必履修科目となったことを踏まえ、出題教科に「情報」を追加。試験時間は60分、配点は100点。 なお、下の時間割は、大学入試センターが公表している時間割(イメージ)をもとに作成したものです。実際の時間割は検討中ですが、これによると2日目の最後に「情報」が加わるものの、1日目が文系科目、2日目が理系科目という点は、現行の共通テストと変わりはありません。ただし、「国語」と「数学②」の時間が10分ずつ延長されることから、両日ともに終了時刻も10分後ろ倒しになります。