スターバックスがオーストラリアから撤退する理由
世界に約2万店舗を展開するコーヒー・チェーン最大手のスターバックス(スタバ)が、不振のオーストラリア事業から手を引く。同国内からスタバが消えてなくなるわけではないが、残る全直営店の運営権を地元企業に売却する。スタバがオーストラリアで成功しなかったのはなぜか。 米国のスターバックス・コーポレーション(米スタバ)はこのほど、オーストラリア国内に残る全スタバ直営店の運営権を地場の小売大手「ウィザーズ・グループ」に売却することを決めた。ウィザーズ・グループはオーストラリア東海岸を中心にセブン・イレブン約600店舗を運営するコンビニ国内最大手。同グループのウィルモット最高経営責任者(CEO)は「スタバをオーストラリアのコーヒー・チェーン最大の成功例にする。(セブン・イレブンの運営を通して)世界的なブランドの地元に最適化したスキルを生かしたい」と述べた。 スタバは1971年に米シアトルで創業。世界展開を進め、オーストラリア1号店を2000年にオープンした。店舗網を拡大したが、ブルームバーグによると2008年までに約1億米ドル(約102億円)の赤字を出した。同年、84あった店舗の約4分の3を閉鎖、従業員約700人を削減した。 米スタバの2013年9月期決算書によると、連結売上高は前年度比12%増の149億米ドル(約1兆5,000億円)。62の国・地域で1万9,767店舗(直営1万194店、フランチャイズ9,573店)を展開する世界最大のコーヒー・チェーンだ。国・地域別の店舗数(直営とフランチャイズの合計)は、最大拠点の米国が1万1,457店と半分以上を占め、次にカナダ1,337店、中国1,017店、日本1,000店、英国764店、韓国559店などの順に多い。 全世界での同年度の新規開店数から閉店数を引いた店舗の純増数は1,701店と全店舗数の約9%と順調にネットワークを拡大している。しかし、オーストラリアの店舗数は08年のリストラを経て現在では24店舗を残すのみとなっていた。日本では、現在1034店舗あり、1996年に上陸して以来、順調に成長していきているが、南半球の大陸では、スタバ文化が根付かなかったことになる。