スターバックスがオーストラリアから撤退する理由
高コストもネックに外資の進出難しく
さらに、経営戦略の甘さも指摘されている。マクドナルドやKFCといった世界的な大手ファストフード・チェーン(地元企業がフランチャイズ展開しているケースが多い)を除き、コーヒーに限らずオーストラリアの外食産業では海外チェーンが進出して成功した例はほとんどない。日本勢も同様で、例えば大手牛丼チェーン吉野家は多店舗展開を目指してシドニーに2店舗を出店したが、既に撤退している。 その背景には、オーストラリアの事業コストが世界の主な国・地域と比較して非常に高いことがある。成人の全国最低賃金は現在、時給16.87豪ドルと日本や米国の約2倍。労働者の権利が手厚く保証されていて、企業側にとっては賃金以外の労務コスト負担も大きい。商業物件の家賃は日本の大都市と比較しても高い。こうした高コストがネックとなり、思うように利益を出せないことが多いのだ。 グローバルな成功体験をそのままオーストラリアに持ち込んでも、必ずしもうまくいかない。スタバ撤退のニュースは、そんな教訓を示していると言えそうだ。 (守屋太郎/日豪プレス特約)