「人前では緊張してうまく話せない」「頭が真っ白に」もしかして社交不安症かも|臨床心理士が解説
「人前で話そうとすると緊張してうまく話せない」「人前に立つと頭が真っ白になってしまう」と悩んでいませんか?それは社交不安症のせいかもしれません。今回は社交不安症とは何か解説するとともに、人前で緊張してしまう人の対処法についてご紹介します。 〈関連写真〉ミスが多い人に共通する4つの特徴とは?ミスを防ぐ5つの方法 ■人前で緊張して話せないのは「社交不安症」かも 「人前で緊張してうまく話せない」という人は、「社交不安症」の可能性があります。 まずは、「社交不安症」とは何かを理解していきましょう。 ■■社交不安症とは 社交不安症とは、人前に出るのを怖く感じたり、人と関わる場面(社交場面)でとても緊張したりする症状です。 そのなかでも、人前で話そうとすると緊張してうまく話せなくなる状態を「スピーチ恐怖」といいます。会議のプレゼンや、結婚式でのスピーチなど、人前で話そうとすると、 「うまく話せなかったらどうしよう」 「失敗したら取り返しがつかない」 などの思いが頭をよぎり、強いストレスがかかります。 その結果、 ・頭が真っ白になる ・声がふるえて話せなくなる など、極度の緊張状態に陥ります。 症状が悪化すると、「人前で話す」だけでなく、「人がいる」ことそのものが苦痛になり、最終的には外に出られなくなる可能性もあります。 ■■社交不安症の種類 社交不安症には、様々な種類があります。スピーチ恐怖以外にも当てはまっているものがあるかもしれません。不安・恐怖を感じるものをチェックしてみましょう。 □人前で話すのがつらい(スピーチ恐怖) □人と接するのが怖い(対人恐怖) □オフィスで電話に出られない(電話恐怖) □「視線」が気になる(視線恐怖) □人と一緒に食べるのが苦痛(会食恐怖) □顔がすぐ真っ赤になる(赤面恐怖) □文字を書く手が震える(書痙) □ふとした場面で身体が震える(振戦恐怖) □汗が気になって仕方ない(発汗恐怖) □おなかの音が鳴るのが心配(腹鳴恐怖) □人が近くにいると排尿できない(排尿恐怖) □自分のにおいが気になって仕方ない(自己臭恐怖) ■「人前で緊張してうまく話せない」ときの対処法は? 社交不安症により、人前でうまく話せないときには、ここで紹介する3つの対処法に挑戦してみましょう。 ■■呼吸法 呼吸法は、人前に出たときの緊張を和らげるのに効果的な方法です。 1. 4秒かけて息を吸う 2. 7秒間息を止める 3. 8秒かけてゆっくり息を吐く この呼吸法を繰り返すと、心身の緊張がほぐれていきます。 いつでも・どこでも実践可能なので、人前に出る直前などにおすすめの方法です。 ■■一日一恥 社交不安症は「失敗したら恥ずかしい」「失敗したら取り返しがつかない」という思考から生じます。 そこで、わざと失敗して恥をかいてみるのが「一日一恥」です。例えば、 ・左右で異なる靴下を履いて出かける ・Tシャツを前後逆に着てみる ・小声で歌いながら歩いてみる など、あえて恥をかきそうな行動をとってみます。 行動してみると「意外と誰も気づかない」「思っていたより何も起こらない」など、失敗して恥をかいても取り返しがつかない事態にはならないことを体験できます。 この一日一恥を繰り返すことで「失敗しても大丈夫」「恥をかいても問題ない」というマインドを育てていけば、人前で話すときも過剰に緊張せずに済みます。 ■■マインドフルネス マインドフルネスとは、「今、この瞬間」の体験を重視すること。 人前で緊張してうまく話せない人は、「今、この瞬間」ではなく、「未来の失敗した自分」に心が囚われてしまっています。 起きてもいない未来から心を取り戻し、「今、この瞬間」を穏やかに過ごすために、マインドフルネスに取り組んでみましょう。 今回は、有名な「呼吸のマインドフルネス」を試してみましょう。 1. 楽な姿勢で座る 2. お腹に手を当て、お腹の動きに集中する 3. ゆっくり息を吸い、お腹がふくらむのを感じる 4. ゆっくり息を吐き、お腹がへこむのを感じる 5. 5~10分繰り返す お腹の動きから注意が逸れてしまっても「あ、逸れちゃった」とだけ思い、再びお腹の動きに注目できればOK。「今、この瞬間」に戻ってきましょう。 ■参考文献 貝谷久宣[監修](2017)社交不安症がよくわかる本 講談社 田島治[監修](2013)これって性格?それとも「社交不安障害」? 大和出版 ライター/佐藤セイ(臨床心理士)
佐藤セイ