ハリスを大統領に選ぶべき理由。男性の危機を救えるのは、逆説的に彼女しかいない
男性の困難
わたしは心配する親たち、特に母親たちから、こんなメールをよく受け取る。 「シカゴでPRの仕事をしている娘と、ペンシルベニア大学に通うもう一人の娘がいます。息子は地下室に住んで、電子タバコを吸いながらビデオゲームをしています」 若い米国人男性は、不安定雇用と社会的孤立という危機に直面している。これは我々全員にとって悪いことだ。大学の費用が多くの家庭の手の届かないほど高騰する一方で、大学卒業を必要とせず中産階級への切符となっていた製造業の仕事の多くが海外に流出した。住宅はますます手が届かなくなり、18歳から24歳の男性の約60%が親と同居し、30歳でも5人に1人が親と暮らしている。 2004年以降、若い男性の「絶望死」(自殺、薬物過剰摂取、アルコール関連死)は40万人の命を奪った。考えてみてほしい。過去20年間に米国で絶望死した若い男性の数は、第二次世界大戦での戦死者数を上回るのだ。 一方で、男性であることの意味をめぐる議論全体が、問題に対処しようとする対話というよりも軽蔑(例「有害な男らしさ」)に近い、危険な様相を帯びている。若い男性たちは自分が何者であるべきかわからず、世界に出て行ってそれを見つけ出すリソースも持っていない。 多くが立ち往生している。孤立し、絶望し、非生産的で、肥満や薬物依存、自殺の危険にさらされ、女性嫌悪やその他の過激な思想に感化されやすい。彼らは良いパートナー、従業員、市民になれない。若い女性たちが教育や所得で大きな進歩を遂げている一方──これは素晴らしいことで、我々は妨げるべきではない──、若い男性たちは後退しているように見える。 わたしは両陣営の経済政策や立場を充分に検討した結果、ハリスの政策こそが若い男性たちに男性性を実現する機会を増やすと感じている。具体的には扶養者となり、守り手となり、子孫を残す、という三つの機会だ。
扶養者として
現代の米国は繁栄の時代を迎えている。だからこそ、米国を「再び」偉大にする必要などない。イェール大学の経営学教授ジェフリー・ソネンフェルドが最近「タイム」誌で強調したように、バイデン/ハリス政権下の米国経済は、客観的な指標で見ると好調だ。 ・失業率は約4.1%で、1968年以来の低水準 ・インフレ率は2.2%と低い ・GDP成長率は世界一 ・金融市場は好調で、今年だけで71回の最高値を更新 ・バイデンは財政赤字を3分の1に削減 テクノロジーについて、ウィリアム・ギブソンは「未来はすでにここにある──ただ均等に配分されていないだけだ」と言った。この言葉は現代の繁栄についても当てはまる。アルゴリズムは私たちの生活を支配し、すべてが最悪だと信じ込ませようとする。 しかし実際には、バイデン政権は誇るべき経済実績を持っており、ハリスはそれを受け継ぎ、拡大すべきだ。彼女は具体的な政策を掲げている。住宅建設の拡大、学生債務の削減、子育て税額控除の拡大、製造業の雇用創出、そしてサンドイッチ世代向けの高齢者介護支援だ。 対する陣営の政策──関税引き上げと移民削減──はインフレを招くだけだ。共和党の常套手段である減税も問題だ。これは赤字を増やし、その債務は特に若者にとって長期的な重い税負担となる。高齢者(例えばわたしのような)は赤字の返済を見届けることはないだろう。それを払うのは若者たちなのだ。 歴史的に、扶養者になることは男性の仕事だった。今では肉体的な力が経済的な重みを持たなくなり、女性も男性と同じくらい稼ぐことができる。しかし、女性が稼ぎ手になれることは、その役割が男性にとって重要でなくなったことを意味しない。好調な経済の中でまともな仕事を持つ男性は、富を創出し、税金を納め、社会関係資本を築いている。自尊心も得られる。より魅力的な夫や父親の候補にもなる。リチャード・リーブスが指摘するように「彼は社会に価値を生み出している」のだ※3。 男性が扶養者として成長するための最重要条件―強く拡大する経済―は、ハリスの下でより実現しやすい。これは、経済学者、ノーベル賞受賞者、投資銀行のほぼ全員が、計算の結果として同意している点だ。