いったいなぜ? ウクライナ軍に2個の「フェイク旅団」が発覚
ウクライナの地上兵力の規模は、ロシアが戦争を拡大してから2年8カ月あまりの間に2倍に拡大した。ウクライナ軍の陸軍、空挺強襲軍、海兵隊、領土防衛軍、ウクライナ内務省の国家親衛隊は、各人員最大2000人、車両数百両規模の旅団を合計で新たに数十個編成した。しかし、どうやらそのうちの少なくとも2個の旅団は偽物だったようだ。 2023年2月、何者かがソーシャルメディアに「第88独立機械化旅団」と「第13独立猟兵旅団」のアカウントを作成し、新部隊の兵士や装備と称する写真を投稿し始めた。数週間後、ベラルーシと国境を接するウクライナ北部リウネ州バラシュ地区の地元当局は、第88機械化旅団と第13猟兵旅団の両方がこの方面のウクライナ軍に合流したと報告した。 だが、バラシュ地区はだまされていた。ウクライナの地上戦闘部隊の編制に関する動静を追跡しているウクライナの調査グループ「ミリタリーランド」(MilitaryLand.net)は第88機械化旅団と第13猟兵旅団について、2023年初め以来、戦闘に参加している形跡がないことに疑問を募らせた。 そこで最近、これらの旅団は実在するのかとウクライナ軍参謀本部に照会した。回答は「ウクライナ軍の編制において第88機械化旅団なる組織は存在しない」というものだった。 ミリタリーランドは第13猟兵旅団についても「実在しない可能性がとても高い」と結論づけている。 これらの架空旅団の背後にいる人たちが資金集めはしてこなかった点からすると、手の込んだ募金詐欺のたぐいではないようだ。ミリタリーランドは「両部隊とも心理戦の一環か、もしくは、こちらのほうがありそうだけれど、少人数の軍人グループが小隊や中隊を内輪でこうした名前で呼んでいるのかもしれない」と推測している。 たしかに、ウクライナには正規の軍組織のほかに、志願者でつくる準軍事組織が数え切れないほどある。最終的に軍に加わることを目指して訓練している組織もあれば、地元がロシア軍に制圧された場合の抵抗活動を見据えた組織もある。