大規模な伐採、豪雨により「土砂崩れが多発」 見直し求められる林業政策 #災害に備える
場所によって皆伐を禁止すべき
熊本や宮城の被災者からは、「人が住んでいる山の皆伐は制限して欲しい」「乱暴な皆伐は控えて欲しい」という声が上がっている。地球温暖化で台風や大雨が多発している日本の対策はどうすべきか。前出の佐藤教授はこう指摘する。 「皆伐跡地が豪雨などで土砂崩れを起こせば、道路の復旧、被災者の生活支援、川底に流出した土砂の除去作業など、多額の費用がかかります。社会的損失も大きい。特に球磨川流域に多くみられる急峻な林地では、皆伐施業を一定のルールを設けて禁止すべきです。災害リスクを下げる環境配慮型の林業に、支援のための補助金を出すことも国は考えていいのではないでしょうか」 皆伐の怖さは土砂崩れだけではない。大量の土砂が川に流れ込んだ場合、川底を上げるなどして、河川の氾濫につながる可能性もある。 日本の国土の約67%を占める森林。豪雨被害が深刻化する中、早急な災害対策が求められている。
------ 西岡千史(にしおか・ゆきふみ) 1979年、高知県生まれ。2006年、早稲田大学第二文学部卒。「THE JOURNAL」「週刊朝日」「AERA dot.」編集部記者を経て、現在はフリーランスの記者として活動している。