人気を可視化する指名制度に自己否定まっしぐら。思いつめやすくなった性格の原因に迫る【漫画家インタビュー】
耳かき専門店での勤務経験を基にしたオリジナル漫画をSNSで発信する森民つかさ(@uouououoza1)さん。自己否定という“沼”に浸かってしまっている漫画家志望の主人公が耳かき専門店で働き始め、さまざまな想いを抱える客たちとの出会いを通じ、強すぎる自己否定感と向き合っていく姿を温かいタッチで描く。耳かき専門店の知られざる裏側とは。著者の森民さんに、第7話についてお話をうかがった。 【漫画】『耳かき専門店で働いて自己否定“沼”から抜け出す話』を読む
アルバイトをしてもミス連発で長続きせず、漫画家としても落選ばかり。自己肯定感を削られ、すっかり自己否定の“沼”に浸かってしまった主人公。「耳かき専門店」で働き始めて1カ月、まったく指名が取れず、自己否定を繰り返してしまう。同僚に相談したところ、人間関係や家族関係に何か問題があったのではと指摘され……。
残酷な指名システムを経験し、結果に一喜一憂しないよう変化
――指名数という目に見える数値化は、なかなか厳しさを覚えてしまいます。当時は指名システムに関してどう感じていましたか? 最初は、なんて残酷なシステムなのだと思っていました……(笑)。自分の人間的な魅力の無さを突き付けられているようで、社会で生きていくつらさや大変さを身に染みて感じていました。もちろん指名があった方がうれしいですが、今では、そこまで結果に一喜一憂しないようになりました。 ――自己否定した際に“沼化”する表現は思わずクスクスさせられますが、このアイデアを思いつかれたきっかけは何でしょうか? 担当編集者さんと話していた中で、「森民さんを沼に沈めてください」と言われ生まれたシーンです。タイトルとリンクした表現として、うまくハマった感じでした。 ――自己肯定感に関する考察が始まる内容で、ラストのお父さんの一言は衝撃的でした。同僚の方に「機能不全家族」と指摘されていますが、ご自身でそう考えたことはありましたか? 「機能不全家族」という言葉自体は聞いたことがありましたが、それが自分に当てはまっているとは、あまり認めていなかったです。特に暴力振るわれていたわけではないし、家事や家族のケアなどを押し付けられていたわけでもなく、家庭としては機能していたので、その自覚はなかったですね。その後、精神的な面での機能不全もあると知り、徐々に受け入れていった感じです。 やる気はあれど、自己否定感で苦労する自分との向き合い方を実体験ベースに描いた『耳かき専門店で働いて自己否定“沼”から抜け出す話』。森民さんの耳かき専門店での奮闘ぶりと発見の日々をご覧いただきたい。