プライドが傷つく?相続の家族会議では必須だが…親が「お金の話」をしたがらない“3つの理由”【FPが解説】
相続における事前対策では、親のお金の話は不可欠。しかし、親が子どものことを信頼してお金のことを開示してくれるようになるには、思ったよりも長い時間を要することになります…。どうすれば、親との齟齬が生まれることなく、円満に相続における家族会議を済ませることができるのでしょうか。本稿は、FP歴27年の安田まゆみ氏の著書『もめないための相続前対策: 親が認知症になる前にやっておくと安心な手続き』(河出書房新社)から、一部を抜粋して紹介します。 都道府県「遺産相続事件率」ランキング…10万世帯当たり事件件数<司法統計年報家事事件編(令和3年度)>
親がお金のことを開示してくれるまで「3年」はかかる
親の相続について考える際、そして家族信託を組成する際に欠かせないのが、家族会議です。物忘れが多くなってきた親の資産凍結を避けるために対策をしようと、子どもたちのほうから呼びかけて、家族会議が開かれることが多いです。 親は、介護費用などについては、子どもに迷惑をかけたくないと思っています。子どもは子どもで、介護費用は親のお金で賄いたいと思っています。両者、思うところは同じですが、お互い本音がいい出せません。 以前、「親が子どもを信用して、お金のことを開示してくれるようになるには、コミュニケーションをきちんと取り始めてから、3年はかかる」という趣旨の本を出版しましたが、今もそれは変わりません。私の肌感覚で恐縮ですが、多くの相談を受けていて思うのは、やはりそれなりに時間はかかる、ということです。 親がお金の話をしたがらない理由は3つ。 (1) 「これしかお金がないの?」 といわれたくない。プライドが傷つく。 (2)「こんなに持っていたの?」と思われて、ねだられるのは辛い。 (3)「そんなことにお金を使えていいわね」とお金の使い方に口を出されるのは嫌。 と、いうことなのです。 家族会議を何度か繰り返していく中で、認知症対策が、資産凍結を回避するためだけではなく、親の身を案じての住環境の整備や通院のサポートについても話し合われるようになると親も悪い気はしません。 これだけ心配されているのだから、みんなに迷惑をかけないよう、 財産管理をしてもらおう。と、親がその気になってくれれば、お金についての話が徐々にできるようになります。