矢野監督が「気持ちを感じない」中野に命じた”懲罰交代”は逆効果? 7連敗の阪神がトンネル脱出に必要なものは何か
阪神が1日、東京ドームで行われた巨人戦に5-6で敗れて最悪の開幕7連敗を喫した。先発の藤浪晋太郎(27)が自身ワーストとなる3被弾を含む6失点で4回KO。菅野智之(32)に7回3失点と抑えられた打線は、9回に新守護神の大勢(22)から大山悠輔(27)の今季1号2ランで1点差に迫ったが、そこまでだった。過去に開幕7連敗から優勝したチームはなく、今日の第2戦に敗れれば、ヤクルトが1979年に記録した8連敗のセ・リーグのワースト記録に並ぶことになる。
藤浪が3被弾で4回KO
糸原のセカンドゴロを見届けると矢野監督は腕を組んだままベンチ裏の階段に歩を進めた。スコアだけ見れば1点差だが、巨人先発の菅野はベンチで笑っていた。その余裕の笑みがすべてを物語っていた。内容的には完敗だった。開幕7連敗。1995年の開幕5連敗の球団ワースト記録をまたひとつ更新し、セ・リーグで唯一白星がない。 なぜ勝てないのか。 阪神OBで、巨人、楽天、西武などで参謀を務め、現在は、新潟アルビレックスBC監督の橋上秀樹氏は「7点差をひっくり返されて負けたヤクルトとの開幕戦のトラウマを引きずっている」と見ている。 「投打において必要以上のプレッシャーを感じてビクビクしているように思える。つまらないミスが出るのも、その影響かもしれない。先発の藤浪もフォームがスムーズになってリリースポイントが安定しコントロールにまとまりが出てきたのはいいが、荒々しさが消えて特に今日は腕も振れていなかった。開幕戦でスンナリ勝ち投手になっていれば自信と余裕ができていたのかもしれないが、不安とプレッシャーからか、ボールに勢いを感じず、坂本なんかは、昔は藤浪に対して打席に入ることを怖がっていたが、しっかりと踏み込んできていた」 復活にかける立場の藤浪に連敗ストップの役割を託すのは酷だったのかもしれない。 その立ち上がりに好調巨人打線の洗礼を受ける。一死から坂本にインローの153キロのストレートを左中間スタンドに運ばれ、続く新外国人のポランコには弱点とされていたインサイドを攻めたが、その154キロのストレートを今度はライトスタンドへ。2者連続本塁打で、いきなり2点を失うと、3回には二死から大城に外角に投じた152キロのストレートを逆方向のレフトスタンドに持っていかれたのである。いずれも体が早く開きボールはシュート回転。球速表示とは裏腹に押し込むような威力に欠けていた。 3回には、また守備のミスが出た。先頭の吉川のショートゴロにグラブを差し出してチャージしてきた中野がバウンドを合わせ損ねて打球を弾いたのだ。二死満塁とされて好調の丸に叩きつけられた打球がマルテの頭上をこえて0-5と突き放された。 「中野は最初の一歩、球際の弱さが出たが、連敗のプレッシャーがかかっていたのだろう。オフに守備コーチを変えなかった時点で何も変わらないのではないかと見ていた。ただ守備は練習を積めば上手くなるとされているが、プロレベルになると、実はセンスが重要で、そこを改善できないのであれば、ミスをバットで取り返すしかない。中野は出塁率をあげて走り回ることだ」 4年連続でセのワースト失策を続けている守備面の課題が解消されていない。