「二度とリングに上げるべきではない」58歳マイク・タイソンの“懐メロ興行”は成功だった? 7万人動員、Netflix6500万人視聴、金儲けは成功も
もし壮絶な打ち合いになっていたら…
この興行の取材を終えて、スタッフの一人がこんな話をしていたのを聞いて耳を疑わざるを得なかった。「盛り上がらなくて残念だった。もっとガンガン打ち合い、激しくエキサイティングな内容、結末になるのかと思っていたのに」 2005年の時点で精も根も尽き果てていたボクサーが、約20年後の公式試合で復活する理由はない。もちろん入場料に大金を費やしたファンが“もっと上質なアクションが見たかった”と考えるのは理解できるが、正直、“激しくエキサイティングな内容、結末”にならなくてよかったのではないかとも思えた。 そんなバトルになっていたら? ポールにその意欲と技量があったとすれば? 今回の試合前、「6月に潰瘍で血の半分と体重25パウンドを失った」と明かしていたタイソンが、深刻なケガを負っていても不思議はなかったはずだからだ。 「何事も挑戦するのはタフだが幸運を祈っている」 試合後、同じ年代の人たちへのメッセージを求められたタイソンは、簡単には消えない疲労感を漂わせながらそう述べていた。 もちろんチャレンジは自由だが、実際にはそれぞれの年齢に適切なステージというものが存在する。過去20年間、アップ&ダウンを繰り返しながらも、ポッドキャスト、俳優、YouTubeなどで一定の成功を収めてきたタイソンには今後もボクシング以外のことへの挑戦の幸運を祈りたい。 最後にあえて不躾な書き方をするが、これほどのビッグネームが万が一にでも事故に遭った場合に業界が被るダメージを考えれば、少なくとも今のタイソンを、公式試合のリングにはもう二度と上げるべきではないと思えるのである。
(「ボクシングPRESS」杉浦大介 = 文)
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