「二度とリングに上げるべきではない」58歳マイク・タイソンの“懐メロ興行”は成功だった? 7万人動員、Netflix6500万人視聴、金儲けは成功も
とてつもない成功を収めたが…
このように昔の名前を換金する“懐メロ興行”が実現する背景自体は理解できる。上記通り、今回のイベントは大人気となり、Netflixのピーク時の視聴者は全世界で6500万人に達したという。米国内だけの数値なので単純比較はできないが、2015年の“世紀の一戦”、フロイド・メイウェザー対マニー・パッキャオでもPPV売り上げは約450万件に過ぎなかった。 ボクシング史に残るカリスマだったタイソン、超人気ユーチューバーのポール、動画配信界の王者であるNetflixという3つの業界の巨人が手を組んだ“壮大な金儲けイベント”はとてつもない成功を収めた。おかげでタイソンとポールはそれぞれ3000万ドル以上の巨額報酬を受け取ったという。ビジネス面でこれほどの成果を叩き出したのだとすれば、最新の敗北の後でも、タイソンが依然として現役続行に色気を示していたのも当然なのかもしれない。 「(まだ戦えると)世間に証明する必要はない。他人の納得のためではなく自分が納得すればいい。(これが最後かは)わからない。状況によるよ」 ただ……ボクシングに関わるものとして、何よりもこのスポーツのファンとして、単なる金儲け以上ではないこのような試合がまかり通ってしまうのはやはり残念ではある。 繰り返しになるが、かつてタイソンは強かった。マイケル・スピンクス、ラリー・ホームズ、フランク・ブルーノ、トレバー・バービックといった同世代の強豪ボクサーたちを寄せ付けなかった頃の勇姿を記憶したファンにとって、ポールのようにトップレベルではない選手に負ける姿は見たくはないものだっただろう。 感情的な話だけではない。特に格闘技はその競技の性質上、単に“懐メロ”を楽しむことは難しく、高齢選手をリングに上げれば健康面のリスクがどうしてもつきまとう。楽しみながら戦う余裕のあるエキシビションならまだしも、タイソン対ポール戦は事もあろうに公式試合と認定された。 ニューヨーク、ラスベガス、ロサンゼルスといった都市のアスレチック・コミッションが実戦から20年近く離れた58歳のボクサーの戦いを認可することは考えられず、コミッションの基準がより緩いテキサスが開催地として選ばれた。そういった流れの中で復帰戦のリングに立ったタイソンは案の定、年齢相応に抜け殻のようでもあった。
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