「二度とリングに上げるべきではない」58歳マイク・タイソンの“懐メロ興行”は成功だった? 7万人動員、Netflix6500万人視聴、金儲けは成功も
5ラウンド以降、テキサス州アーリントンのAT&Tスタジアムにはブーイングばかりが鳴り響いた。開始当初の爆音のような歓声はほとんど聞こえなくなり、回を重ねるごとに罵声の声量ばかりが大きくなっていった。しかし、ここでブーイングを送ったファンはこの戦いにいったい何を期待していたのだろう? 【お宝写真】「めっちゃ若い…けどオーラ半端ねえ」マイク・タイソンと前田日明“奇跡の2ショット”を発見「しかもミッキーTシャツ着てる…!」タイソン初来日で小錦と真剣勝負!?など貴重な写真を全部見る
7万人を超える大観衆、Netflixがパンク
元世界統一ヘビー級王者マイク・タイソンが11月15日、58歳にしてリングに復帰し、27歳の人気ユーチューバー、ジェイク・ポールとヘビー級8回戦を行った。この異色のボクシング興行の人気は常軌を逸したほど。当日はなんと7万2300人という大観衆が集まり、イベントを生配信したNetflixのストリーミングが対応しきれずにパンクしてしまうという異常事態となった。 「相手はタイソンだ。戦えたことが光栄だ。偉業を成し遂げた伝説の男を尊敬し、刺激をもらってきた。地球上で最もタフで強い男なんだから」 試合後、ポールは拳を交えたばかりの男をそう評していたが、この日の大スタジアムを埋め尽くしたファンの大半が、半ば幻想のように同じ思いを抱いて会場に足を運んだのかもしれない。 1986年に20歳5カ月という史上最年少で世界ヘビー級王者となったタイソンは、80~90年代に一世を風靡した元スーパースター。史上最高レベルのボクサーではなかったのかもしれないが、ダイナマイトパンチとカリスマ性ゆえに世界中で名を知られる著名選手になった。その知名度を考えれば、「モハメド・アリとタイソンこそがボクシング史上最大のアイコンだった」という元ESPN.comのダン・レイフィール記者の言葉は決して大袈裟ではなかった。 ただ、今は80年代でも90年代でもなく2024年である。当然のことだが、60歳を間近に控えたタイソンにはピーク時の面影など微塵もなかった。 開始ゴング直後こそ鋭いパンチでポールを追い回したタイソンだったが、1ラウンド2分の特別ルールでも2回を迎える頃には早くもスタミナ切れ。それ以降は足がバタバタになってしまうという流れは、2000年代前半、体力、気力が衰えた頃の典型的な負けパターンだった。 2005年に引退する直前のタイソンはKO負けを続けたが、ボクサーとしての技量は8回戦レベルのポールに元王者をKOで仕留める能力があった訳ではない。そういった経緯から、中盤以降はアクションに乏しいままラウンドを重ねていく。5、6回はタイソンのパンチのヒット数はゼロ。観客が沸くシーンはほとんどないまま、ポールが3-0の判定勝ちを収めた。最終的にタイソンが繰り出した97発の手数中、ヒット数はわずか18に終わった事実がこの試合の内容の乏しさを物語っていたのだろう(ポールは278発中78ヒット)。
【関連記事】
- 【お宝写真】「めっちゃ若い…けどオーラ半端ねえ」マイク・タイソンと前田日明“奇跡の2ショット”を発見「しかもミッキーTシャツ着てる…!」タイソン初来日で小錦と真剣勝負!?など貴重な写真を全部見る
- 【あわせて読みたい】「井上尚弥は東京ドームの魔物すら呑み込んだ」タイソンとの“最大の違い”は何だったのか? 34年前の大番狂わせを取材した記者が明かす舞台裏
- 【真相】あの日、マイク・タイソンは乾いていた…「衝撃の東京ドーム」を見た2人の証言[長編]
- 【伝説の試合】「絶対に勝てんな。でも薬師寺の名前が売れる」伝説の一戦“薬師寺保栄vs.辰吉丈一郎”の舞台裏「まさかこんなに売れるとは…立ち見席を刷らないで」
- 【あの人は今】「俺のこと恨んでいると思っていた」赤井英和を病院送りにした“噛ませ犬”大和田正春はいま…「“浪速のロッキー”の脳が揺れた鮮烈の左フック」