W杯アジア最終予選サウジ、豪州戦のカギを握るDF冨安健洋のアーセナル仕込み「メンタリティー」と「ボックス内勝負」
直近の対戦は2019年1月のアジアカップ決勝トーナメント1回戦。伝統の堅守速攻からポゼッションにスタイルを転換したサウジアラビアに、森保ジャパンはシュート数で5対15、パス総数で197対659、ボール支配率で23%対77%と完全に圧倒されながら、前半20分に冨安があげた値千金の先制弾を死守して1-0で辛勝した。 2019年7月にはモロッコ代表を率いて、ロシアワールドカップで注目を集めたフランス出身のエルヴェ・ルナール氏が新監督に就任。冨安も「アジアカップからまた変わってくるかもしれない」と、選手全員が国内でプレーするサウジアラビアが連携を高め、さらに力をつけていると想定した上で、勝負を分けるポイントをこうあげた。 「まずは後ろがゼロで守る。どのような展開でも、たとえ押し込まれる展開であったとしてもボックスのなか、点が生まれるところでしっかり防げれば失点しない。これはアーセナルでも言われていますけど、勝負を決めるのはボックス内なので。守備面でも攻撃面でもボックス内での戦いをより意識して、集中力を切らさずにプレーしたい」 ジッダへ入るとともにモードをアーセナルから森保ジャパンへ、右サイドバックからセンターバックへ切り替えた。アーセナルの新戦術や新たなチームメイトたちの特徴が叩き込まれてきた頭脳のなかから、期間限定で日本のデータを引っ張り出す。 「いろいろなものが変わりますけど、やはりサッカーはサッカーですし、相手よりも走るとか球際で負けないとか、基礎的な部分はどこのポジションでも変わらないので」 代表モードでプレーするための原点をこう語った冨安は、キャプテンの吉田麻也(33・サンプドリア)とともに不動のセンターバックとして、難敵サウジアラビア撃破に貢献するための作業をアーセナルでの1ヵ月間になぞらえた。 「戦術などは練習のなかでしっかりと自分のなかに刷り込んで、ゲームに入るときには頭のなかをクリアする。多くのことを考えすぎずに、自然な状態でプレーできるような状況を作って試合に臨むという部分は、代表でプレーするときも大事になってくる」 キックオフ時間は現地時間7日午後8時(日本時間8日午前2時)に決まり、酷暑の残る時間帯での戦いは回避できた。ただ、5万人収容のキングアブドゥラー・スポーツシティスタジアムは60%、3万人を上限に観客が入る。文字通りのアウェイ決戦で、冨安の「負けないメンタリティー」が日本の最終ラインを支える。 (文責・藤江直人/スポーツライター)