今年から「後期高齢者医療制度」の保険料が値上げに。医療費を抑える制度を解説
「基準収入額適用申請」と「療養費」で医療費を節約
高齢者になると、病院のお世話になることも多くなり、医療費負担も大きくなります。入院すると負担はさらに大きくなり、治療費のほかに入院基本料、食事代、病院の種類や部屋タイプによって変わる差額ベッド代などの費用が加わってきます。 このうち、入院基本料は保険が適用されますが、食事代は一部自己負担ですし、差額ベッド代は全額が自己負担。そのほかに、入院すれば日用品を購入することもありますし、テレビを視聴するにも費用がかかることもあります。シーツや病衣のクリーニング代も必要です。 仕事をリタイアした後は収入も減るため、医療費はできる限り安く抑えたいもの。そんなときに知っておきたいのが、「基準収入額適用申請」と「療養費」という制度です。 「基準収入額適用申請」は、医療費の支払いが厳しい場合に自己負担額が抑えられる制度です。70歳以上で、健康保険の自己負担割合が3割の人は、要件を満たせば自己負担割合が1~2割に軽減されます。後期高齢者医療制度の対象者も、条件次第で適用される可能性も。 一方の「療養費」は、医療費を立て替え払いしたときや治療用装具を購入したときに払い戻しを受けることができる制度です。健康保険では、医療機関の窓口に保険証を提示して診療を受ける「現物給付」が原則。しかし、緊急搬送で保険証が手元になかった場合や、医者が治療に必要と認めた治療用装具を購入した場合などで、いったん医療費を全額支払わなければならないケースもあります。そんなとき、あとから請求をすると、保険給付相当額の7~9割を払い戻してもらえます。 そのほかにも、1か月の医療費が高額になった場合、一定の自己負担限度額を超えた分が戻ってくる「高額療養費」や、通常10万円以上の医療費を支払った場合に翌年の確定申告で所得控除が受けられる「医療費控除」などの制度もあります。また、自治体によっては、特定の対象者に対する医療費の一部を助成する制度を設けているところもあるので、確認してみてもいいかもしれません。 医療費支援制度には、利用するための要件がありますし、申請先も変わってくるので、自治体の窓口や医療ソーシャルワーカーなどに相談してみましょう。 黒田先生によると、「入院前はなにかとあわただしく、思うように時間がとれないので、入院時の費用も含めて早めに準備しておくと安心」ということです。