なぜRIZIN王者斎藤がDEEP王者牛久に大流血で敗れる波乱が起きたのか…白紙となった年末の朝倉未来の対戦カードは?
総合格闘技イベントの「RIZIN.31」が24日、横浜のぴあアリーナMMで行われ、メインのRIZINフェザー級タイトルマッチでは、王者の斎藤裕(34、パラエストラ小岩)が、挑戦者のDEEP同級王者の牛久絢太郎(26、K-Clann)の跳びヒザ蹴りを顔面に浴び、右目上から大流血、2回4分26秒ドクターストップによるTKO負けで初防衛に失敗するという波乱が起きた。斎藤は勝てば大晦日大会での朝倉未来(29、トライフォース赤坂)との再戦が有力だったが、白紙となり、榊原信行CEOは「ファンの声に耳を傾けて」牛久と朝倉とのタイトル戦以外の好カードを模索していく考えを明かした。6月に朝倉を失神させて1本勝ちしたクレベル・コイケ(32、ボンサイ柔術)とRIZINは、“没交渉“となっており、大晦日にどんなカードが組まれるのか、注目される。
”秘密兵器”の跳びヒザ蹴りで大流血
RIZINフェザー級は呪われたベルトなのか。 第2ラウンドの「残り時間1分」の場内コールがあった直後だ。 牛久が真正面から跳びヒザ蹴りを仕掛けた。出ていこうとした斎藤には、ちょうど出合い頭のカウンターとなり、牛久の左の“ヒザ小僧“が斎藤の顔面を切り裂く。右目の上、眉間に近い部分がザックリと割れて大流血。返り血で牛久の顔が赤く染まったほど。試合はストップされ、コーナーに座り込んだ斎藤の傷口をチェックしたドクターがストップを指示。TKO勝利を確認した牛久は、引きつった顔のまま、「やったぜ!」と雄叫びをあげた。DEEPの現役王者のプライドが、そう言わせたという。 立ち上がった斎藤は「まだできる!」と試合続行をアピールした。 「本当は続行したかった。もらってしまった自分が悪いが、あと5分、最後までやらせて欲しかった」 だが、下されたジャッジは覆らない。控室で6、7針を緊急縫合するほどの大きく開いた傷口で続行は不可能だった。試合後は、人相がすっかり変わってしまうほど、右目の周囲が大きく腫れあがっていた。 衝撃のアップセットを目撃した4866人のファンのどよめきと拍手で場内は騒然となった。 昨年11月のRIZINフェザー級王座決定戦では、番狂わせで朝倉未来を判定で下して初代王者になった斎藤が、今度は、RIZIN初登場となるDEEPの同級王者に一撃で粉砕されたのである。 新王者は、インタビュールームでは冷静に喜びを噛みしめた。 「普通に嬉しい。このチャンスをアピールして実現して結果につながったことが嬉しい。ベルトも嬉しいが(自分で)流れをつかみ取れたことが嬉しい」 当初、斎藤の挑戦者には、6月に朝倉を失神させたクレベルが予定されていたが、最終的には怪我を理由にオファーを拒絶され、相手がいなくなった。そこにパンクラスで活躍した後にDEEPに参戦、昨年9月に弥益ドミネーター聡志に挑戦して王座を獲得、今年2月にノンタイトル戦で中村大介にKO負けするも、7月のタイトル戦で中村に雪辱した牛久が名乗りを上げてRIZIN初参戦のチャンスをつかみ金星を手にした。そのサクセスストーリーを自画自賛した。