なぜRIZIN王者斎藤がDEEP王者牛久に大流血で敗れる波乱が起きたのか…白紙となった年末の朝倉未来の対戦カードは?
牛久の起こした“横浜の奇跡“でフェザー級戦線が混沌としてきた。 当初、斎藤が初防衛に成功し大晦日に朝倉のリベンジを受けるのが既定路線だったが、そのカードが消滅。朝倉は、さっそくSNSで「あー。」と反応して斎藤が敗れたことを嘆き「俺は誰でもいいから大晦日求める相手とやるよ」とツイートした。その朝倉の声をメディアに聞かされても牛久はあくまでも慎重だった。 「左足が痛い。今後は代表(横田)と話をして決める。ここでは何も言えない」 朝倉との初防衛戦をアピールすることはしなかった。 描いていた大晦日構想が崩れた榊原CEOは、嬉しい悲鳴である。 「主催者としてチャレンジングだが実りの多い大会となった。想定していた未来の絵が全部崩れて、年末にどうマッチメイクで、どうストーリーで進めるか、白紙に戻して考えるほど新しい選手の躍動がみられた。今後の展開の中で2人の再戦も見たいと思っているファンもいる。そういう機会を作っていければいい」 斎藤の怪我の回復を待って牛久とのリマッチを行いたい考えは示したが、大晦日に牛久対朝倉戦をセットするプランには消極的だった。 「牛久が、どういうドラマが見せていくかの期待はあるが、ここからがスタート。牛久vs朝倉戦に一足飛びにもっていく感じではない。ファンの声に耳を傾けて、ひとひねり、ふたひねりする必要がある」 まだネームバリューも実力の証明も足りないとのプロモーターの判断も理解できる。 朝倉は、ツイッターに「なんだかんだでクレベル選手が頭抜けてるよ 今日の2人より強いと思う」と続けて投稿した。 客観的かつ冷静な分析だろう。朝倉の大晦日の照準が、斎藤から6月に失神1本負けしたクレベルに切り替わったとも取れる意味深ツイートに読めるが、榊原CEOは「クレベルからのコンタクト? 特にない。フェザー級で抜けているかどうかもわからない。アプローチがないからどうしようもない」とコメント。 減量や怪我を理由に参戦オファーを断ったクレベルサイドへの不信感は消えていない様子で、電撃和解でもない限り、現段階では、朝倉vsクレベルの再戦も榊原CEOの頭の中にはない。ただ、来年以降に関しては新型コロナウイルスの感染拡大が収束に向かっていることから外国人選手の参戦が緩和されそうな動きもあり「来年には海外勢を入れてフェザー級のグランプリをやりたい」との構想が浮上したことも明かした。 RIZINフェザー級のベルトを巡って、再度起きた番狂わせは、フェザー級戦線を「誰が生き残るか」の大戦国状態にしたことは間違いない。 元王者は「できるだけ早くリマッチして、自分の中で止まった時間を動かさないといけない」と願い、新王者は、こう決意を語った。 「ベルトを持ったことの責任は重い。このままじゃダメ。もっと強くなる。小さい子供にも憧れられるファイターになりたい。人に感動、影響を与えられるファイターになる」 果たして「アイデアとか、知恵比べ。ファンが求めるものをどう半歩先に行くか」と言う榊原CEOは大晦日大会にどんなカードを切ってくるのか。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)